築炉工事業の木下築炉(本社：大分県大分市)は、2018年12月、フィリピン マニラ首都圏マカティ市に現地法人「KINOSHITA CHIKURO PHILIPPINES, Inc.」(当初資本金75万ペソ)を設立、このほど地方公共団体向けに火葬炉の販売を開始した。
　
　1994年設立の木下築炉は、工業炉の設計施工や焼却炉のメンテナンスなどを幅広く手掛けている。木下築炉は、高技術力や徹底した安全管理が評価され、2016年に経済産業省「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に認定されるなど高い評価を受けている。 

　木下築炉は、事業の強化やフィリピンの社会インフラ整備支援とともに、フィリピン人技能実習生の帰国後の雇用を確保するため、上記のようなフィリピン現地法人を設立し、地方公共団体向けに火葬炉の販売とメンテナンスを行う事業を開始した。このような取り組みを評価した商工中金大分支店は、今年3月、現地法人の資金調達ニーズに対応するため500万円を融資している。なお、木下築炉は2016年から外国人技能実習生の受け入れを開始、現在フィリピン人実習生6人が技術・技能習得中であるとのことである。
　
　5月18日付け大分合同新聞電子版によると、今年4月に、木下築炉の火葬炉１号機をカビテ州に設置。上屋の建設や試運転などを済ませ、夏ごろに本格稼働を開始する予定とのことである。現地採用も積極的に実施し新たな雇用を創出するとともに、帰国した実習生が、学んだ技術や知識を現地職員に指導する体制を整える。現在は日本から輸送している火葬炉を将来的にはフィリピンで製造し、インドネシアやマレーシアなどへの展開も目指すとのことでもある。これまで、フィリピンでは土葬が主流であったが、土地不足や金額が高いことなどから火葬需要が伸びている。

　なお、フィリピン証券取引所(PSE)には、共同墓地開発や葬儀関連施設を運営する「ゴールデン・ブリア(旧社名：ゴールデンヘブン)」が上場されている。株価は2年前くらいまで20ペソ以下で推移していたが、その後急騰、5月16日の終値は410ペソとなっている。この株価急騰が、フォーブス誌世界富豪番付2019年版において、ゴールデン・ブリア会長のマニュエル・ビリャール氏をフィリピン富豪第1位に押し上げる大きな要因となっている。すなわち、葬儀関連事業が注目されるようになっているといえよう。