比での日本語学習者数、5万2千人で世界9位

教師数1,298人で世界10位:国際交流基金調査

2019/10/09

 国際交流基金は、海外における日本語教育機関の状況を把握するために、1974年から約3年に1度「海外日本語教育機関調査」を実施している。

 2018年度の調査では、前回(2015年度調査)より5カ国多い142の国・地域において日本語教育が実施されていることを確認した。機関数、教師数、学習者数とも、一部の国・地域を除きアジア、大洋州での伸びが顕著である。現在と同じ調査方法を採用した1979年度調査からの比較では、学習者数は30.2倍、教師数は18.8倍、機関数は16.2倍となった。

<調査結果のポイント>
1.過去最多の142か国・地域で日本語教育の実施を確認
 今回調査では、ジンバブエ、東ティモール、ベリーズ、モザンビーク、モンテネグロの5カ国で新たに日本語教育の実施を確認した。この結果、日本語教育が実施されている国・地域の数は過去最多となり、またこれまで比較的日本語教育が盛んでなかった国・地域にも日本語教育が拡がりつつあることが判明した。

2.世界全体の日本語教育機関数と日本語教師数も過去最多
 海外の日本語教育機関の数は 1万8,604機関(+15.0%)と過去最多だった前回を上回る結果となった。これは中国、インドネシア、ベトナム、ミャンマー等で大きく増加したことが理由である。 また、日本語教師数は7万7,128人(+20.3%)と、こちらも過去最多を更新する結果となった。特にベトナムやミャンマーでは教師数の増加率が顕著であった。地域別にみると、機関数・教師数ともにアジアでの増加が顕著である。

3.世界全体の日本語学習者数は約385万人に
 前回 2015年度の調査では世界全体の学習者数が調査開始以来、初めて減少したが、今回調査では学習者数は384万6,773人と、前回比で約19万人、率にして5.2%増加していることが判明した。全世界の日本語教育実施国・地域のうち、前回から学習者数が増加した国・地域は104、減少した国・地域は41と多くの国・地域で日本語を学ぶ人の数が増えつつある。

 地域別にみると東アジアと北米を除く全ての地域で学習者数が増加してお り、上位国・地域では中国・オーストラリア・タイ・ベトナム等で増加、一方でインドネシア・韓国・台湾・米国等で減少という結果になっている。 また学習者の増減を教育段階別にみると、「初等教育」(小学校に相当、前回比+5万7,778人(+20.9%))および「学校教育以外」(前回比+22万4,963人(+37.1%))で大幅に伸び、「中等教育」(中学・高校に相当)や「高等教育」(大学等)ではわずかに減少している。このことから、海外で日本語を学ぶ人たちの年齢層はより幅広くなりつつあるとみることができる。

 なお、2018年度調査におけるフィリピンでの日本語学習者数は2015年度比3.7%増の5万1,892人で世界9位、アジアでは中国、インドネシア、韓国、タイ、ベトナム、台湾に次ぐ7位であった。教師数は80%増の1,298人で世界10位にランクインした(19年10月8日の国際交流基金プレスリリースなどより)。