アヤラ系電力企業、PSEへの裏口上場完了

ACエナジー・フィリピン誕生、取引コード「ACEPH」

2019/10/24

 フィリピン証券取引所(PSE)において、通常手続きによる新規上場企業数は低水準で推移している。通常の新規上場企業数は、2015年から2017年までは各々4社のみ、2018年は6月29日に新規上場した不動産・建設企業D.M.ウエンセスラオ(DMW)1社のみであった。2019年は10カ月間で3社のみにとどまっており年間でも低水準なものとなりそうである

 その一方、有力未上場企業による裏口上場(バックドア・リスティング)の動きが目立つ。裏口上場とは、未上場企業が既存の上場企業を買収・合併、買収した上場企業を存続会社とし、通常の新規上場プロセスを経ないで一気に上場を果たすという方法である。

 小規模や半休眠の上場会社が多く存続していたフィリピンでは、それらを活用した非上場企業の裏口上場がしばしば見られてきた。近年の裏口上場の例としては、フィリピン航空持株会社PALホールディングス、不動産企業センチュリー・プロパティ―ズ・グループ(CPG)、カジノ企業ブルームベリー・インベストメント・ホールディングス(ブルームベリー)やメルコ・リゾーツ、学校チェーンのSTIエドケーション・サービス・グループ(STI)、洋酒のエンペラドール、飲料関連持株会社のマッケイ・ホールディングス、鉱業のグローバル・フェロニッケルなどが挙げられる。

 カジノリゾート『オカダ・マニラ』プロジェクトの現地実施企業「タイガーリゾート・レジャー&エンターテインメント(タイガー・リゾーツ社)」も、フィリピン証券取引所(PSE)上場のほぼ休眠状態の「アジアベスト グループ インターナショナル(ABG)」を活用して、PSEに裏口上場しつつある。

 このようななか、アヤラグループのエネルギー企業であるACエナジー社(ACEI)の裏口上場が完了したといえる。アヤラ財閥の旗艦企業であるアヤラコーポレーション(アヤラコープ)は、発電事業を新しい収益源と位置付けている。従来型の発電事業に加え、代替エネルギー事業も活発化させつつある。その中心となってきたのがエネルギー子会社のACEIであった。
 
 このACEIは未上場企業であったが、今年6月に買収したフィンマ・エナジー(PHEN、1969年9月にPSE新規上場、当時の社名はトランスアジア オイル&ミネラル)の上場ステータスを活用、通常の新規公募(IPO)や新規上場手続きを経ないで、PSE上場企業となった。社名はACエナジー・フィリピンへと変更された。PSEにおいても、10月23日の取引からACエナジー・フィリピンへの社名変更が反映され、PSE取引コードもこれまでの「PHEN」から「ASEPH」へと変更された。