比が公衆衛生緊急事態を宣言、新型コロナに対応

国内でも感染例増加、BGCの比デロイト職員も

2020/03/09

 在フィリピン日本大使館などによると、フィリピン保健省(DOH)は、3月6日、フィリピンでの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例2例、3月7日に症例1例を追加確認し、フィリピン国内の症例が累計で6件となったことを発表した。発表の概要は次のとおり

(1)4例目の症例:日本への渡航歴のある48歳、フィリピン人男性。2月25日にフィリピンに戻り、3月3日、悪寒と発熱があったため病院で診察し検査したところ、3月5日にCOVID-19陽性であることを確認した。現在は熱帯医学研究所に入院し、状態は安定している。
 この男性は、世界的な会計・コンサルティングサービス企業であるデロイトの現地法人デロイト・フィリピン(比デロイト)の職員である。比デロイトはマニラ首都圏タギグ市のボニファシオ・グローバルシティー(BGC)のNEO6ビル(旧名:NETリマ)とNEO7ビル(旧名:NETパーク)に立地している。比デロイトは、3月7日から8日にかけて、上記男性の感染確認を発表するとともに、3月9日は、NEO6ビルとNEO7ビルのオフィスを閉鎖すると表明した。

(2)5例目の症例:国外への旅行歴がない、高血圧と糖尿病の既往歴のある62歳、フィリピン人男性。2月25日に咳があったため3月4日に検体を採取し、3月5日にCOVID-19陽性であることを確認した。外国への渡航は確認されていないこの男性は、サンファン市のバランガイ・グリーンヒルズにあるイスラム教徒の礼拝堂を定期的に訪れていた。同礼拝堂を訪問し、かつ、発熱や呼吸器症状がある人は、適切な医療施設を照会するため、DOHホットライン(02)8651-7800、内線1149、1150に連絡されたし。

(3)6例目の症状:上記5例目の妻であり咳症状があるため3月5日より熱帯医学研究所に入院した後、感染が確認された。現在、容態は安定している。

 また、日本とフィリピンの保健当局は、次のようなフィリピン渡航歴のあるCOVID-19の患者について発表している。
(1)ベトナム、カンボジア、フィリピン等に滞在し(フィリピン滞在は2月21日から2月28日まで)、3月4日に日本に帰国した40代の男性
(2)2月20日から28日までフィリピンに滞在し、2月28日に日本に帰国した30代の男性(3月5日付け京都府報道発表参照)
(3)2月28日から3月3日までフィリピンに滞在した台湾人男性(3月6日付けフィリピン保健省報道発表参照)
(4)オーストラリアのシドニー在住の女性。2月13日にマニラ、パンガシナンを訪問し、3月2日にフィリピンを出発した。
 
 なお、DOHは、フィリピン国内での局所的な感染を確認したとして、COVID-19アラートシステムをCode Red sublevel 1 に引き上げた。この措置は、地方自治体や官民医療関係者が感染疑い例や感染者の増加に備えるためのものであり、これにより医療対策が強化される。

 このように、フィリピンでもCOVID-19の感染が拡がり始めたことを受けて、ドゥテルテ大統領は、3月7日、「国家公衆衛生緊急事態」を宣言すると表明した。