19年の純外資直接投資額、23%減の77億ドル

倍増の投資認可額とは対照的な実際の投資額

2020/03/12

 フィリピン中央銀行(BSP)は、2019年12月及び年間の外資直接投資(FDI)の速報値を発表した。国際収支及び国際投資ポジション第6版(BPM6)に基づいている。
 
 12月の外資直接投資(FDI)純流入額は前年同月比69.0%増の11億5,300万米ドルに拡大。株式資本投資の増加などによる。株式資本投資は5億9,800万米ドルに達し、前年同月の4倍増だった。上位投資国・地域は、シンガポール、オランダ、日本、米国で、主に電気・ガス・蒸気・空調供給サービス、金融・保険へ投資された。収益の再投資は17.2%増の7,100万米ドル。一方、非居住者の現地グループ企業(子会社や関連会社)への貸付など負債性資本への純投資は0.4%減の4億8,400万米ドルであった。
 
 しかし、2019年年間のFDI純流入額は前年比(以下、同様)23.1%減の76億4,700万米ドルと低調であった。流入の減速は、フィリピンの堅調なマクロ経済基盤にもかかわらず、世界的な不確実性が投資意欲を冷え込ませた。

 負債性資本への純投資は23.2%減の51億5,300万米ドル。同様に、株式資本投資の純流入額は38.2%減の14億4,900万米ドル。上位投資国・地域は、シンガポール、日本、米国で、主に金融・保険、不動産、電気・ガス・蒸気・空調供給サービス、製造へ投資された。収益の再投資は16.6%増の10億4,600万米ドル。
 
 なお、BSPのFDI統計は実際の外貨流入額がベースとなっており、フィリピン経済区庁(PEZA)や投資委員会(BOI)が発表する投資認可額とはベースが異なる。2019年の投資認可額は前年比112.8%増(約2.1倍)の3,901億1,000万ペソと急増しているが、実際の投資額は減少という対照的な結果となっている。
 

 外資直接投資(FDI) 国際収支&国際投資ポジション第6版(BPM6)コンセプト(単位:百万米ドル)
時期 12月 1月-12月
項目 18年 19年 伸び率(%) 18年 19年 伸び率(%)
外資直接投資純流入額 683 1153 69.0 9949 7647 -23.1
 株式・投資ファンド持分 197 670 240.2 3242 2495 -23.1
   株式資本 136 598 340.2 2346 1449 -38.2
   収益の再投資 61 71 17.2 897 1046 16.6
 負債性資本(ネット) 486 484 -0.4 6706 5153 -23.2
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)
注:FDI純流入は非居住者の自己資本の意味、2018年は改定値、2019年は全て速報値