三菱UFJ出資のセキュリティバンク、第1四半期21%増益

純金利収入41%増加、CAR17.6%、ROE9.8%と良好

2020/04/29

 三菱UFJ銀行(MUFGB)が20%出資する有力拡大商業銀行であるセキュリティバンク(SECB)が、4月28日、2020年第1四半期(1月~3月)の決算速報を発表した。
 
 それによると、2020年第1四半期の総収入は前年同期比(以下同様)75%増の132億ペソに達した。純金利収入が41%増の81億ペソと好調、純金利マージンも4.68%へと129ベーシスポイント上昇した。非金利収入も184%増の51億ペソへと大幅増加した。特に、証券売買益が420%増の35億ペソへと急増した。営業費用は、ビジネス拡大に伴う人件費やコストで28%増加したが大幅増収効果などにより、純利益は21%増の29億ペソへと二桁増加した。株主資本利益率(ROE)は9.8%(前年同期8.6%)、総資産利益率(ROA)は1.47%(同1.24%)とそれぞれ上昇した。
 
 2016年4月のMUFGBの20%出資により収益基盤が一段と拡充され、財務内容が更に向上してきたといえよう。総融資残高は14%増の4,680億ペソ。個人向け融資が44%増加し、融資全体の29%を占めた。一方、法人向け融資は6%増にとどまった。総受入預金残高は9%増の5,030億ペソ。低コスト預金が30%増となり、総受入預金残高の48%を占めた。

 2020年3月末の総資産は3%増の7,830億ペソ。株主資本は7%増の1,190億ペソに達し、バーゼル3基準の自己資本比率(CAR)は17.6%(前年同期は19.0%)と中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。また、普通株式中核自己資本比率(CET1)は16.5%と前年同期から変わらず、中央銀行の最低基準8.5%を大幅に上回っている。
 
 総不良債権(NPL)比率は1.59%と低水準、フィリピン銀行業界の1.79%(2020年2月現在-中央銀行データ)を下回っている。NPL貸倒れ引当率は128%と高水準を維持した。

 セキュリティバンクは3月31日、現金配当を普通株1株当たり1.50ペソ(通常配当1.00ペソ、特別配当0.50ペソ)、配当日は4月30日と発表した。

 3月17日から実施された政府の「強化されたコミュニティー隔離」(ECQ)のもと、セキュリティバンクは行員、顧客、株主の利益を確保するための様々なイニシアチブを講じてきた。行員に対しては、健康防護対策、延長給付、後方支援を提供。顧客に対しては、特定の手数料の廃止、融資返済の期限猶予、オンライン・コールセンター・支店経由での顧客支援等を実施。地域社会に対しては、医療及び教育面での支援を提供した。