失業率、新型コロナで二桁台へ悪化懸念

2019年の年間最低記録5.1%から急上昇か

2020/05/18

国家経済開発庁(NEDA)は、「フィリピンの失業率はこれまで順調に改善傾向を辿ってきたが、2020年は新型コロナ感染拡大やそれに伴う地域隔離措置の影響で大幅悪化、年内に二桁台まで急上昇する可能性もある」との懸念を表明した。

 フィリピン統計庁(PSA)によると、下表のとおり、2019年の年間平均失業率は5.1%となり前年の5.3%から0.2%ポイント改善した。算出基準が変更されており単純な比較はできないが、継続的な記録の残る1993年以降の年間ベースで最低記録となった。フィリピンでは、毎年1月、4月、7月、10月に失業率などの労働・雇用動向統計が発表される。この4回の平均値が年間平均失業率として発表される。

 なお、年4回の雇用統計発表は、季節的要因によって失業率等が変動することに留意する必要がある。4月、7月は新卒者の労働市場参入により労働力人口が増加することで失業率が上昇しがちである。逆に、10月はクリスマス商戦に向けての雇用拡大で失業率が他の月よりも低下する。実際、2019年10月の失業率は4.5%で10月としては過去最低、2019年年間平均の5.1%をかなり下回っている。
 
 今年3月5日に発表された2020年1月の失業率は5.3%と低水準であった。4月分は6月5日に発表される予定である。まだ、新型コロナウイルスの影響は大きくは顕在化していない可能性もあるが、新型コロナ感染拡大以降の初の失業率統計であり注目される。

  
 フィリピンの就業率・失業率推移(年間平均ベース)

年月 2019年 2018年 2017年 2016年 2015年
15歳以上人口(千人) 72,931 71,339 69,891 68,311 64,936
労働力参加率 61.3% 60.9% 61.2% 63.5% 63.7%
就業率 94.9% 94.7% 94.3% 94.6% 93.7%
失業率 5.1% 5.3% 5.7% 5.4% 6.3%
不完全就業率 14.0% 16.4% 16.1% 18.3% 18.5%
 (出所:フィリピン統計庁資料より作成、2019年は速報値)