比トヨタ、第1四半期15%減収で20%減益に
火山やコロナ響く、売上高288億ペソ、純利益14億ペソ
2020/05/19
大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。
これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2019年まで18年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。 個別モデル販売ランキングにおいても、常に上位を独占している。
5月18日発表のGTCAP2020年第1四半期事業報告書によると、TMPの2020年第1四半期(1月~3月)のTMPの卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)20.9%減の2万5,636台、小売ベースの販売台数は23.4%減の2万5,686台で、減少率は業界全体の27%を下回った。TMPの2020年第1四半期の市場シェアは36.3%と高水準、前年同期の34.6%から上昇した。
1月央のタール火山噴火、新型コロナ感染拡大やその対策としての3月央からの地域隔離措置が大きく影響した。その中での販売上位車種はサブ・コンパクトセダン「ヴィオス」、バン「ハイエース」、多目的車「イノーバ」、ピックアップトラック「ハイラックス」、小型SUV[ラッシュ」であった。
これらの結果、今第1四半期の売上高は14.7%減の287億7,320万ペソと高水準ながら二桁減収となった。一部車種で値上げを実施したが、二桁減収が響き、粗利益は7.8%減の37億4,450万ペソにとどまった。営業利益は19.2%減の19億8,240万ペソ、帰属純利益は19.7%減の14億3,060万ペソへと二桁減少した。依然として厳しい環境下で、比較的堅調な業績推移であったといえるが、第2四半期は新型コロナ感染拡大の影響が一段と顕在化することが懸念される。
下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破した。2018年は車両税改定という一時的要因などで減益となり100億ペソを割り込んだが、2019年は回復に転じた。2020年は続伸が期待されたが、火山、新型コロナウイルスという予想外のファクターで視界不良となっている。
なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。
トヨタモーター・フィリピンの第1四半期業績比較 (単位:百万ペソ、20年は速報値)
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)
トヨタモーター・フィリピンの年間の業績等の推移 (単位:百万ペソ、19年は速報値)
(出所:GTキャピタル事業報告書・年次報告書などより作成)
これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、
5月18日発表のGTCAP2020年第1四半期事業報告書によると、TMPの
1月央のタール火山噴火、新型コロナ感染拡大やその対策としての3月央からの地域隔離措置が大きく影響した。その中での販売上位車種はサブ・コンパクトセダン「ヴィオス」、バン「ハイエース」、多目的車「イノーバ」、ピックアップトラック「ハイラックス」、小型SUV[ラッシュ」であった。
これらの結果、今第1四半期の売上高は14.7%減の287億7,320万ペソと高水準ながら二桁減収となった。一部車種で値上げを実施したが、二桁減収が響き、粗利益は7.8%減の37億4,450万ペソにとどまった。営業利益は19.2%減の19億8,240万ペソ、帰属純利益は19.7%減の14億3,060万ペソへと二桁減少した。依然として厳しい環境下で、比較的堅調な業績推移であったといえるが、第2四半期は新型コロナ感染拡大の影響が一段と顕在化することが懸念される。
下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%
なお、TMPは、
トヨタモーター・フィリピンの第1四半期業績比較 (単位:百万ペソ、20年は速報値)
年 | 19年第1四半期 | 20年第1四半期 | 伸率 |
売上高 | 33,751 | 28,773 | -14.7% |
粗利益 | 4,060 | 3,745 | -7.8% |
営業利益 | 2,454 | 1,982 | -19.2% |
帰属純利益 | 1,782 | 1,431 | -19.7% |
トヨタモーター・フィリピンの年間の業績等の推移 (単位:百万ペソ、19年は速報値)
年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 19年伸率 |
売上高 | 80,677 | 104,887 | 114,289 | 155,833 | 185,337 | 158,941 | 168,616 | 6.1% |
粗利益 | 10,257 | 14,629 | 18,299 | 21,072 | 23,059 | 16,620 | 21,143 | 27.2% |
営業利益 | 5,719 | 9,859 | 13,910 | 15,669 | 16,798 | 10,255 | 12,786 | 24.7% |
帰属純利益 | 4,219 | 7,209 | 10,195 | 11,929 | 13,186 | 7,882 | 9,082 | 15.2% |
総資産 | 23,750 | 26,681 | 32,278 | 36,003 | 42,158 | 36,428 | 38,751 | 6.4% |
株主資本 | 9,286 | 11,923 | 15,228 | 17,492 | 19,148 | 15,238 | 15,608 | 2.4% |