日清の比即席麺事業、上半期23%増収で31%増益
業績一段と向上、新型コロナでの外出制限で内食需要拡大
2020/08/04
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション(URC)との合弁企業「ニッシン・ユニバーサル・ロビーナ・コーポレーション」(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。
このニッシンURCの業績が堅調に推移している。8月3日に発表されたURCの2020年上半期(1月~6月)事業報告書によると、ニッシンURCの2020年上半期の売上高は前年同期比(以下同様)23%増の37億5,500万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は30%増の7億8,100万ペソ、純利益は30%増の4億7,900万ペソで二桁増収増益決算となった。
新型コロナウイルス感染対策としての外出・移動制限措置のもとで、家庭内食事(内食)需要や保存食需要が高まり、継続購入の動きが強まったようだ。下表のように、新型コロナウイルス感染以前の業績も上昇基調を続けてきている。なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ・ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ・ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。
ニッシンURCの業績推移(単位:百万ペソ、2019年までは年間実績、2020年は上半期実績)
(出所:URC年次報告書や事業報告書などから作成)
なお、東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、近年の継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額が堅調に推移している。世界ラーメン協会(本部:大阪府池田市、事務局:東京都新宿区新宿)発表によると、下表の様に、フィリピンの2019年の即席麺の総需要は前年比2.3%減と成長一服ながら、38億5,000万食で世界第8位、ASEANではインドネシアとベトナムに続く第3位の市場となっている。そして、世界総需要約1,064億食のうちの3.6%を占めている。一人あたりの年間消費量は40食に近づいている。
即席麺は手頃価格で簡単に食べられることから、フィリピンでは人気は衰えず需要は拡大傾向にある。スープタイプでは特にシーフード味が人気。パンシット・カントンと呼ばれる焼きそばタイプも人気で、カラマンシー(スダチ)味やホットチリ味が好まれている。メリエンダと呼ばれる午後のおやつの習慣があり、メリエンダ向けなどにミニサイズのカップ麺販売も好調である。カップ麺は今後も人口増加や経済力の向上にともない、さらなる市場拡大が期待されている。
特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売は好調に推移している。そして、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続け、上記のようにニッシンURCは増収増益を続けている。
インスタントラーメンの世界総需要と上位10市場(単位:億食)
(出所:世界ラーメン協会資料より作成)
このニッシンURCの業績が堅調に推移している。8月3日に発表されたURCの2020年上半期(1月~6月)事業報告書によると、ニッシンURCの2020年上半期の売上高は前年同期比(以下同様)23%増の37億5,500万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は30%増の7億8,100万ペソ、純利益は30%増の4億7,900万ペソで二桁増収増益決算となった。
新型コロナウイルス感染対策としての外出・移動制限措置のもとで、家庭内食事(内食)需要や保存食需要が高まり、継続購入の動きが強まったようだ。下表のように、新型コロナウイルス感染以前の業績も上昇基調を続けてきている。なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ・ニッシンである。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ・ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。
ニッシンURCの業績推移(単位:百万ペソ、2019年までは年間実績、2020年は上半期実績)
項目 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年上半期 | 前年同期比 |
売上高 | 4,361 | 5,103 | 5,815 | 6,345 | 3,755 | +23% |
EBITDA | 777 | 890 | 975 | 1,156 | 781 | +30% |
純利益 | 475 | 559 | 603 | 717 | 479 | +30% |
総資産 | 2,281 | 2,686 | 2,583 | 2,583 | 3,993 | +35% |
なお、東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、近年の継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額が堅調に推移している。世界ラーメン協会(本部:大阪府池田市、事務局:東京都新宿区新宿)発表によると、下表の様に、フィリピンの2019年の即席麺の総需要は前年比2.3%減と成長一服ながら、38億5,000万食で世界第8位、ASEANではインドネシアとベトナムに続く第3位の市場となっている。そして、世界総需要約1,064億食のうちの3.6%を占めている。一人あたりの年間消費量は40食に近づいている。
即席麺は手頃価格で簡単に食べられることから、フィリピンでは人気は衰えず需要は拡大傾向にある。スープタイプでは特にシーフード味が人気。パンシット・カントンと呼ばれる焼きそばタイプも人気で、カラマンシー(スダチ)味やホットチリ味が好まれている。メリエンダと呼ばれる午後のおやつの習慣があり、メリエンダ向けなどにミニサイズのカップ麺販売も好調である。カップ麺は今後も人口増加や経済力の向上にともない、さらなる市場拡大が期待されている。
特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売は好調に推移している。そして、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続け、上記のようにニッシンURCは増収増益を続けている。
インスタントラーメンの世界総需要と上位10市場(単位:億食)
順位 | 国/地域 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 |
1 | 中国/香港 | 424.7 | 440.3 | 462.2 | 444.0 | 404.3 | 385.2 | 389.6 | 402.5 | 414.5 |
2 | インドネシア | 145.3 | 147.5 | 149.0 | 134.3 | 132.0 | 130.1 | 126.2 | 125.4 | 125.2 |
3 | インド | 35.3 | 43.6 | 49.8 | 53.4 | 32.6 | 42.7 | 54.2 | 60.6 | 67.3 |
4 | 日本 | 55.1 | 54.1 | 55.2 | 55.0 | 55.4 | 56.6 | 56.6 | 57.8 | 56.3 |
5 | ベトナム | 49.0 | 50.6 | 52.0 | 50.0 | 48.0 | 49.2 | 50.6 | 52.0 | 54.3 |
6 | 米国 | 42.7 | 43.4 | 43.5 | 42.8 | 40.8 | 41.2 | 41.3 | 45.2 | 46.3 |
7 | 韓国 | 35.9 | 35.2 | 36.3 | 35.9 | 36.5 | 38.3 | 37.4 | 38.2 | 39.0 |
8 | フィリピン | 28.4 | 30.2 | 31.5 | 33.2 | 34.8 | 34.0 | 37.5 | 39.8 | 38.5 |
9 | タイ | 28.8 | 29.6 | 30.2 | 30.7 | 30.7 | 33.6 | 33.9 | 34.6 | 35.7 |
10 | ブラジル | 21.3 | 23.1 | 23.7 | 23.7 | 23.7 | 23.7 | 22.5 | 23.9 | 24.5 |
世界合計 | 982.2 | 1,018.0 | 1,059.9 | 1,039.6 | 974.9 | 975.2 | 1,001.1 | 1,036.2 | 1,064.2 |
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