明日第2四半期GDP発表、推定コンセンサスは-11%

-20%という推定も、年間では22年ぶりのマイナス成長に

2020/08/05

 フィリピン統計庁(PSA)によると、8月6日(木)午前10時より、2020年第2四半期(4月~6月)の国内総生産(GDP)など国民勘定統計が発表される。

 2020年第1四半期(1月~3月)の国内総生産(GDP)実質成長率は前年同期比(以下、同様)-0.2%となり、前年同期の5.7%、前期(2019年第4四半期)の6.7%から急悪化した。1998年第4四半期以来約21年ぶりのマイナス成長となった。

 現地有力経済紙であるビジネスワールド紙が先週実施した17名の民間エコノミストのGDP成長率直前推定集計によると、2020年第2四半期のGDP成長率推定中央値(コンセンサス)が-11%、最高が-4.2%、最低が-20%となっている。いずれにしても、前年同期の5.4%、前期(2020年第1四半期)の-0.2%から更に悪化する見込みである。

 第2四半期が中央値である-11%となると、2020年上半期(1月~6月)のGDP成長率は-5.6%となる。ちなみに、政府の現時点での2020年年間GDP成長率予想は-2.0%~ー3.4%である。いずれにしても、2020年のGDP成長率は、アジア通貨危機時の1998年以来、22年ぶりのマイナスとなるのは避けられそうもない。政府予想下限の-3.4%となると、1985年に記録された-6.9%以来35年ぶりの最低記録となる。

 なお、PSAは、今年4月、GDPなど国民勘定統計の基準年度を、それまでの2000年から2018年へと変更すると発表した。フィリピンの2000年基準(旧基準)は長らく変更されておらず、インドネシア、ベトナム、マレーシアの2010年基準、ラオスの2012年基準などと比べ古さが目立つことから、変更されることになった。2020年第1四半期のGDP統計などの発表から、2018年基準(新基準)となった。

 これに伴い、2000年から2019年までの年間及び四半期毎の産業別、支出別GDP成長率などが、新基準ベースで見直され、改訂が行われた。2001年から2019年までの19年間のGDP平均年間成長率は、旧基準の5.4%に対し新基準では5.5%となる。19年間で最高となった2010年の成長率は、旧基準では7.6%であったが、新基準では7.3%へと下方改訂された。一方、最低成長率はリーマン・ショック直後の2009年に記録されたが、旧基準での1.1%が新基準では1.4%へと上方改訂された。


 フィリピンのGDP実質成長率の推移(単位:%)
06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
2018年基準 5.3 6.5 4.3 1.4 7.3 3.9 6.9 6.8 6.3 6.3 7.1 6.9 6.3 6.0
2000年基準 5.2 6.6 4.2 1.1 7.6 3.7 6.7 7.1 6.1 6.1 6.9 6.7 6.2 5.9
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)