日本企業の事業拡大意向地域、比は11位に上昇
比との回答比率17.8%(前年12.8%):ジェトロ調査
2021/02/11
日本貿易振興機構(ジェトロ)は2020年10月末~12月初にかけて、ジェトロのサービス利用企業(=海外ビジネスに関心の高い日本企業)を対象に海外事業展開に関するアンケート調査を実施、2,722社から回答を得た。そして、2月10日に、その調査結果を発表した。アンケートでは、貿易・海外進出への取り組み、グローバルリスクと中国ビジネスの取り組み、海外ビジネスの見直し、デジタル関連技術の活用、課題等について尋ねた。調査結果のポイントおよび概要は次のとおり。
・新型コロナウイルス感染症の拡大は、6割超の日本企業の海外ビジネスに、深刻なダメージを与えた。2020年度、各社の海外市場における売上高の減少幅は平均で約4割に及んだ。
通商政策上の最大の懸念事項に、米中摩擦に伴う輸出管理規制が浮上したことが注目される
最も影響を受ける通商政策は、前年の「追加関税措置」に代わり、「中国の輸出管理規制強化」と「米国の輸出管理・投資規制強化」が並ぶ。米中摩擦が、関税措置にとどまらず、安全保障分野にとめどなく広がったことを印象付けた。
グローバルリスクの高まりは、日本企業に新たなビジネス様式への移行を迫る
海外事業戦略や組織体制を見直す企業は約7割。特にデジタルを活用した販路開拓に意欲が示されるなか、海外向け販売の新たな手段として越境ECの活用が進展している。越境ECの活用率は4年間で約15%ポイント上昇。とりわけ中小企業において、ECを活用した海外販路拡大の意欲が旺盛である。
・輸出拡大意欲は3年ぶりに減退、再開への期待も
今後(3年程度)の輸出方針については、「輸出の拡大を図る」企業は76.7%と、3年ぶりに8割を切った。特に大企業の同割合は、前回調査から約10%ポイント落ち込んだ。新型コロナの影響で輸出拡大意欲が減退する一方、「縮小、撤退を検討する」割合は横ばいを維持。また、「今後、新たに取り組みたい」とする企業の比率は、4年ぶりに増加に転じた。
今後輸出の拡大を図る企業がターゲットとする国・地域は中国が最多(56.7%)。引き続き約6割を維持したが、前回調査より比率が減少し次点の米国(50.3%)との差は縮小。米国以外の国・地域の回答比率も押し並べて上昇した。
日本企業の既存海外拠点の拡大意欲は過去最低であったが新規の海外進出意欲は衰えず
今後(3年程度)の海外進出方針について、「海外進出の拡大を図る」企業の比率は43.9%で過去最低となった。特に既存の海外拠点を拡大すると回答した企業の比率は19.1%と前年の30.9%から大幅に縮小した。「今後、新たに進出したい」とする企業の比率は24.8%で、前年の25.5%から微減にとどまり、進出意欲に衰えは見られなかった。また、海外ビジネスリスクの高まりを受けた事業展開先の「分散・多元化」が目立つ。最大のターゲット市場である中国を重視しつつ、米国やベトナム、台湾等への分散傾向が明らかになった。
今後、海外で事業拡大を図る国・地域については、下表のとおり、中国を挙げた企業の比率が48.1%となり、引き続き首位となった。次点のベトナム(40.9%)、米国(40.1%)は前年から比率を上げ、初めて40%を超えた。フィリピンという回答率は17.8%で、2018年の9.9%、前年の12.0%から大きく上昇、国別11位へと上昇した。
海外で事業拡大を図る国・地域(上位15カ国・地域、単位:%)
(出所:ジェトロ資料より作成)
注:nは「現在海外に拠点があり、今後さらに拡大を図る」、「現在海外に拠点はないが、今後新たに進出したい」と回答し、かつ拡大する機能も回答した企業数。 ASEAN6は、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムのいずれかを選択した企業。西欧は英国、英国以外の西欧のいずれかを選択した企業。
・新型コロナウイルス感染症の拡大は、6割超の日本企業の海外ビジネスに、深刻なダメージを与えた。2020年度、各社の海外市場における売上高の減少幅は平均で約4割に及んだ。
通商政策上の最大の懸念事項に、米中摩擦に伴う輸出管理規制が浮上したことが注目される
最も影響を受ける通商政策は、前年の「追加関税措置」に代わり、「中国の輸出管理規制強化」と「米国の輸出管理・投資規制強化」が並ぶ。米中摩擦が、関税措置にとどまらず、安全保障分野にとめどなく広がったことを印象付けた。
グローバルリスクの高まりは、日本企業に新たなビジネス様式への移行を迫る
海外事業戦略や組織体制を見直す企業は約7割。特にデジタルを活用した販路開拓に意欲が示されるなか、海外向け販売の新たな手段として越境ECの活用が進展している。越境ECの活用率は4年間で約15%ポイント上昇。とりわけ中小企業において、ECを活用した海外販路拡大の意欲が旺盛である。
・輸出拡大意欲は3年ぶりに減退、再開への期待も
今後(3年程度)の輸出方針については、「輸出の拡大を図る」企業は76.7%と、3年ぶりに8割を切った。特に大企業の同割合は、前回調査から約10%ポイント落ち込んだ。新型コロナの影響で輸出拡大意欲が減退する一方、「縮小、撤退を検討する」割合は横ばいを維持。また、「今後、新たに取り組みたい」とする企業の比率は、4年ぶりに増加に転じた。
今後輸出の拡大を図る企業がターゲットとする国・地域は中国が最多(56.7%)。引き続き約6割を維持したが、前回調査より比率が減少し次点の米国(50.3%)との差は縮小。米国以外の国・地域の回答比率も押し並べて上昇した。
日本企業の既存海外拠点の拡大意欲は過去最低であったが新規の海外進出意欲は衰えず
今後(3年程度)の海外進出方針について、「海外進出の拡大を図る」企業の比率は43.9%で過去最低となった。特に既存の海外拠点を拡大すると回答した企業の比率は19.1%と前年の30.9%から大幅に縮小した。「今後、新たに進出したい」とする企業の比率は24.8%で、前年の25.5%から微減にとどまり、進出意欲に衰えは見られなかった。また、海外ビジネスリスクの高まりを受けた事業展開先の「分散・多元化」が目立つ。最大のターゲット市場である中国を重視しつつ、米国やベトナム、台湾等への分散傾向が明らかになった。
今後、海外で事業拡大を図る国・地域については、下表のとおり、中国を挙げた企業の比率が48.1%となり、引き続き首位となった。次点のベトナム(40.9%)、米国(40.1%)は前年から比率を上げ、初めて40%を超えた。フィリピンという回答率は17.8%で、2018年の9.9%、前年の12.0%から大きく上昇、国別11位へと上昇した。
海外で事業拡大を図る国・地域(上位15カ国・地域、単位:%)
国・地域 | 2020年度 | 2019年度 | 2018年度 | |
n=1,156 | 順位 | n=1,871 | n=1,800 | |
中国 | 48.1 | 1 | 46.3 | 49.9 |
ベトナム | 40.9 | 2 | 38.9 | 34.0 |
米国 | 40.1 | 3 | 31.9 | 30.2 |
タイ | 36.7 | 4 | 32.7 | 31.8 |
台湾 | 33.3 | 5 | 26.8 | 24.7 |
西欧 | 30.4 | 6 | 25.3 | 21.4 |
インドネシア | 25.8 | 7 | 22.3 | 20.8 |
シンガポール | 25.1 | 8 | 20.0 | 18.2 |
マレーシア | 23.1 | 9 | 15.3 | 14.2 |
香港 | 20.2 | 10 | 17.2 | 17.1 |
フィリピン | 17.8 | 11 | 12.0 | 9.9 |
インド | 17.5 | 12 | 15.7 | 16.1 |
韓国 | 15.5 | 13 | 10.7 | 12.9 |
カナダ | 12.5 | 14 | 5.1 | 3.2 |
ミャンマー | 11.1 | 15 | 10.0 | 8.1 |
ASEAN6 | 65.4 | 69.4 | 65.7 |
注:nは「現在海外に拠点があり、今後さらに拡大を図る」、「現在海外に拠点はないが、今後新たに進出したい」と回答し、かつ拡大する機能も回答した企業数。 ASEAN6は、シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナムのいずれかを選択した企業。西欧は英国、英国以外の西欧のいずれかを選択した企業。