メトロバンク、2020年の純利益51%減の138億ペソ

貸倒引当前利益26%増加、自己資本比率20.2%に

2021/02/18

 当地第2位(総資産ベース)の商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、本店マニラ首都圏マカティ市)は、2月17日、2020年(1月~12月)の決算速報を公表した。

 それによると、2020年の総収入は前年比(以下同様)14.3%増の1,212億ペソに達した。そのうち、主力の融資業務などによる純金利収入は11.8%増の861億ペソに達した。非金利収入も20.9%増の351億ペソと好調であった。証券売買益・為替差益が192億ペソに達したことなどが寄与した。

 二桁増収の一方、営業費用が3.8%増の601億ペソにとどまったことで、貸倒引当前利益は26%増の618億ペソへと二桁増となった。しかし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる経済鈍化の対応策として貸倒引当を4倍の408億ペソへと大幅増加させたことで、帰属純利益は50.7%減の138億ペソにとどまった。

 2020年末現在の受け入れ預金残高は前年末比(以下同様)4.9%増の1兆7,972億ペソ、低コストのCASA比率(預金総額に対する当座・普通預金の比率)は73%に達し、前年末の63%から一段と上昇した。融資残高は15.6%減の1兆2,529億ペソであった。総資産は0.2%増の2兆4,552億ペソ、株主資本は4.6%増の3,332億ペソに達している。

 リスク資産に対する自己資本比率(CAR)は20.15%で前年末の17.49%から更に上昇、中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本比率(Tier1)も19.28%と高水準、前年末の16.19%から一段と上昇した。不良債権(NPL)比率は2.41%で、前年末の1.30%から上昇したが、商業銀行全体の3.11%を下回っている。NPL貸倒れ引当率は163%で前年末の103%から大幅上昇している。

 メトロバンクの国内店舗数は956店、海外拠点は30箇所超に達している。日本を始め、アメリカ、カナダ、英国、韓国、シンガポール、中国、香港、台湾の主要都市に支店・現地法人を展開している。設置ATM台数は2,300台超。本店には2002年よりジャパンデスクを設置済み。現在同デスクは、日本人3名を含む総勢約20名以上の陣容となっている。在日拠点は東京支店(設置:1996年3月、フィリピン銀行としての初の日本進出)、大阪出張所(設置:1998年12月)の2拠点となっている。
 
 日系中堅中小企業のフィリピン進出・投資が増加しており、メトロバンクは日本の政府系金融機関2行(日本政策金融公庫・国際協力銀行=JBIC)と地域金融機関65行との間で、日系企業のフィリピン進出支援について提携しており、ほぼ日本全国の地域金融機関が窓口になる。地域金融機関は個別提携22行、国際協力銀行(JBIC)を通じた提携45行(重複行あり)となっている。