大手不動産企業、2020年大幅減収減益に

アヤラランド74%減益、SMプライム53%減益

2021/04/26

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う混乱で、フィリピン証券取引所(PSE)上場企業の業績発表や財務関連資提出が遅れがちである。2020年の年次報告書未提出企業も多数ある(提出期限4月15日から5月17日へと延長されている)。そのような状況下で、不動産業界において、大手企業の年次報告書が出揃いつつある。4月23日時点で2020年年次報告書を提出した大手不動産企業の業績動向は以下のとおりである。

 2020年は新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての地域隔離措置が不動産業界に大きな打撃を与えた。ショッピングモールの一時閉鎖、ソーシャルディスタンス措置の営業活動妨げ、外国人投資家のフィリピン入国制限などが響き、総じて大幅減収減益決算となった。上半期段階で主要13社で唯一増益企業であったダダブルドラゴン プロパティーズ(PSE証券コード:DD)は、4月23日時点で、2020年業績未発表である。上半期段階で45%増収、118%増益であったことから、通年でも増益決算であった可能性がある。

 フィリピン最大級の不動産企業であるアヤラランド(PSE証券コード:ALI)ALIは、2019年まで10年連続での最高益更新を続けてきたが、2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大やその対策としての地域隔離の影響を大きく受け、大幅減収減益となった。ただし、年後半にかけて復調の兆しを見せている。

 2020年の総収入は前年比(以下同様)43%減の963億ペソ、帰属純利益は74%減の87億ペソと大幅な減収減益になった。しかし、第4四半期(10月~12月)は、防疫措置の緩和とともに復調基調となり、収入は前期(2020年第3四半期)比49%増の330億ペソ、帰属純利益は前期比28%増の24億ペソと前期比ベースでは大幅増加した。そして、最悪期であった第2四半期の帰属純利益2億ペソからは約12倍となった。

 アヤラランドと首位を争う総合不動産企業であり最大のショッピングモール開発企業であるSMプライム ホールディングス(PSE証券コード:SMPH)の収入は31%減の819億ペソ、純利益は53%減の180億ペソと二桁の減収減益となった。主力のフィリピンモール事業収入は59%減の236億ペソ、その大半を占めるモール賃貸収入は55%減の218億ペソにとどまった。3月央からのモール閉鎖にともない、テナントの賃貸料放棄、支払い期限猶予などにより大幅な減収となった。

 大手不動産企業の2020年決算動向(単位:百万ペソ、1株当たり純資産のみ:ペソ)

企業名 収入 伸び率 帰属純利益 伸び率 総資産 純資産 1株純資産 
アヤラランド  96,273 -43.0% 8,727  -73.7% 721,494 260,179 17.54
SMプライム 81,899 -30.8% 18,007 -52.7% 722,359 310,718  10.71
メガワールド 39,273 -36.6% 9,886 -44.9% 375,690 212,530 5.89
ビスタランド 31,256 -27.1% 6,056 -46.2% 284,057 105,680  8.32
ロビンソンズランド 25,405 -16.9% 5,264 -39.4% 215,201 102,718 19.61
 (出所:各社の年次報告書より作成)