最大銀行BDO、9カ月間純利益95%増の324億ペソ

貸倒引当56%減が寄与、総資産3兆5千億ペソで断トツ

2021/10/27

 フィリピンの最大銀行であるBDOユニバンク(証券コード:BDO、本店マニラ首都圏マカティ市)は、10月26日、2021年9カ月間(1月~9月)の事業報告書を公表した。
 
 それによると、金利低下などにより、主力の純金利収入は前年同期比(以下同様)2%減の976億ペソと伸び悩んだ。しかし、各種手数料、保険料収入、証券売買益、外為益などの非金利収入は13%増の445億ペソへと二桁増加した。営業費用は、COVID-19パンデミック対策費や生命保険事業関連経費の増加などにより5%増の909億ペソとなった。

 このような状況下、今9カ月間の貸倒引当は104億ペソで、COVID-19パンデミック発生による経済への深刻な影響が考慮された前年同期の238億ペソから56%減少した。この貸倒引当大幅減少などにより、帰属純利益は95%増の324億ペソと大幅増加した。

 総融資残高は前年同期末比(以下同様)5.5%増の2兆3,654億ペソ。一方、受入預金残高は6.2%増の2兆7,349億ペソ。低コストのCASA預金(当座預金や普通預金)残高が14%増、総預金残高に占めるCASA比率は85%へと上昇した。そして、総資本は7%増の3兆5,441億ペソ、自己資本も11.5%増の4,223億ペソに達した。これらの残高はいずれもフィリピン銀行業界で首位となっている。
 
 バーゼル3基準によるリスク加味自己資本比率(CAR)は14.87%(前年同期末14.34%)、普通株中核自己資本(CET1)比率は13.80%で、中央銀行による各々の最低基準をかなり上回っている。不良債権(NPL)比率は3.1%、不良債権貸倒引当率は101%である。年率換算の株主資本利益率(ROE)は10.72%、総資産利益率(ROA)は1.16%で、各々前年同期の5.97%、0.68%を大幅に上回った。

 BDOは、フィリピン全土に1,500店以上の営業拠点、4,400台以上のATMを有している。また、アジア、北米、中東など海外に、香港とシンガポールのフルサービス支店を含む15の送金拠点・事務所を有している。フィリピンでは、ジャパンデスクを設置しており、日系企業向けサポート体制が充実している。日本企業のフィリピン進出増加に対応すべく、日本の国際協力銀行(JBIC)や有力地方銀行との提携を進めてきている。