9月末の商業銀行総資産、9%増の19兆8千億ペソ
8四半期ぶりの高い伸び、BDOが3兆5千億ペソで断トツ
2021/12/07
12月7日付けビジネスワールド紙(BW紙)が、恒例のフィリピンの商業銀行レポート2021年第3四半期(7月~9月)版概況を発表した。このBW紙とフィリピン証券取引所(PSE)提出の各行事業報告書などによる商業銀行の現況は以下のとおり(BW紙と各行の事業報告書の数値が異なる場合は事業報告書数値を採用)。
BW紙によると、現時点で集計可能なフィリピンの拡大商業銀行(ユニバンク)・商業銀行44行(外国銀行含む)全体の総資産は、2021年第3四半期末(9月末)時点で前年同期末比(以下同様)9.0%増の19兆8,220億ペソとなった。前年同月末比伸び率は、2019年第3四半期末の9.9%以来、8四半期ぶりの高い伸びとなった。これまで、新型コロナ禍で低い伸びが続いてきたが、経済の再開、前年同期の低調の反動という要素もあって高い伸びとなった。
個別では、総資産首位がBDOユニバンク(証券コード:BDO)の3兆5,441億ペソ、2位が政府系ランドバンクの2兆9,020億ペソ、3位がメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、MBT)の2兆4,287億ペソ、4位がバンク オブ ザ フィリピン アイランズ(BPI)の2兆2,604億ペソとなっている。
融資残高は3.2%増の9兆7,390億ペソで、前年同期末の5.6%減少、前期末0.7%減から改善、5四半期ぶりのプラス成長となった。融資残高首位もBDOの2兆3,654億ペソ。2位がBPIの1兆3,872億ペソ、3位がメトロバンクの1兆1,738億ペソと続く。受け入れ預金残高首位もBDOの2兆7,349億ペソ。2位はメトロバンクの1兆8,512億ペソ、3位BPIの1兆7,970億ペソと続く。
リスク資産に対する自己資本比率(CAR)は20.80%で、前期末22.34%、前年同期末の21.02%からは低下したが、中央銀行の最低基準10%や国際基準の8%を大幅に上回っている。上場大手銀行の中では、メトロバンク20.66%、セキュリティバンク(SECB)20.10%などが高水準であることが目立つ。
不良債権比率(NPL)は4.49%で前期末の4.67%から小幅低下したが、前年同期末の3.57%%からは大幅上昇した。上場大手銀行の中では、メトロバンクが2.25%と最も良好、フィリピン ナショナル バンク(PNB)が最も高くなっている。PNBのNPL比率はグロスベースで10.80%、ネットベースでも5.20%と記載されている。株主資本利益率(ROE)は3.24%で、前期の2.77%からは回復したが、前年同期の4.13%からは低下した。
なおBW紙は、1980年代後半以来、大手銀行の財務実績を四半期ごとに集計している。今回の2021年第3四半期のレポート完全版は、www.bworldonline.comからダウンロードできるようになるとのことである。
民間上位銀行の2021年9月末の資産等の状況(単位:億ペソ、自己資本比率は対リスク資産{CAR})
(出所:各銀行の事業報告書などより)
民間上位銀行の2021年9カ月間の収益動向(単位:億ペソ)
(出所:各銀行の事業報告書などより、PNBは336億ペソの不動産売却益含む)
BW紙によると、現時点で集計可能なフィリピンの拡大商業銀行(ユニバンク)・商業銀行44行(外国銀行含む)全体の総資産は、2021年第3四半期末(9月末)時点で前年同期末比(以下同様)9.0%増の19兆8,220億ペソとなった。前年同月末比伸び率は、2019年第3四半期末の9.9%以来、8四半期ぶりの高い伸びとなった。これまで、新型コロナ禍で低い伸びが続いてきたが、経済の再開、前年同期の低調の反動という要素もあって高い伸びとなった。
個別では、総資産首位がBDOユニバンク(証券コード:BDO)の3兆5,441億ペソ、2位が政府系ランドバンクの2兆9,020億ペソ、3位がメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、MBT)の2兆4,287億ペソ、4位がバンク オブ ザ フィリピン アイランズ(BPI)の2兆2,604億ペソとなっている。
融資残高は3.2%増の9兆7,390億ペソで、前年同期末の5.6%減少、前期末0.7%減から改善、5四半期ぶりのプラス成長となった。融資残高首位もBDOの2兆3,654億ペソ。2位がBPIの1兆3,872億ペソ、3位がメトロバンクの1兆1,738億ペソと続く。受け入れ預金残高首位もBDOの2兆7,349億ペソ。2位はメトロバンクの1兆8,512億ペソ、3位BPIの1兆7,970億ペソと続く。
リスク資産に対する自己資本比率(CAR)は20.80%で、前期末22.34%、前年同期末の21.02%からは低下したが、中央銀行の最低基準10%や国際基準の8%を大幅に上回っている。上場大手銀行の中では、メトロバンク20.66%、セキュリティバンク(SECB)20.10%などが高水準であることが目立つ。
不良債権比率(NPL)は4.49%で前期末の4.67%から小幅低下したが、前年同期末の3.57%%からは大幅上昇した。上場大手銀行の中では、メトロバンクが2.25%と最も良好、フィリピン ナショナル バンク(PNB)が最も高くなっている。PNBのNPL比率はグロスベースで10.80%、ネットベースでも5.20%と記載されている。株主資本利益率(ROE)は3.24%で、前期の2.77%からは回復したが、前年同期の4.13%からは低下した。
なおBW紙は、1980年代後半以来、大手銀行の財務実績を四半期ごとに集計している。今回の2021年第3四半期のレポート完全版は、www.bworldonline.comからダウンロードできるようになるとのことである。
民間上位銀行の2021年9月末の資産等の状況(単位:億ペソ、自己資本比率は対リスク資産{CAR})
行名 | 総資産 | 純資産 | 自己資本比率 | 預金残高 | 融資残高 | 不良債権比率 |
BDOユニバンク | 35,441 | 4,223 | 14.87% | 27,349 | 23,654 | 3.10% |
メトロバンク | 24,287 | 3,263 | 20.66% | 18,512 | 11,738 | 2.25% |
BPI | 22,604 | 2,939 | 17.64% | 17,970 | 13,872 | 2.73% |
PNB | 11,429 | 1,541 | 14.30% | 8,547 | 6,001 | 10.80% |
チャイナバンク | 10,553 | 1,140 | 15.30% | 8,495 | 5 ,918 | 3.40% |
RCBC | 8,730 | 1,096 | 15.15% | 6,269 | 5,259 | 3.30% |
ユニオンバンク | 7,678 | 1,104 | 18.30% | 5,174 | 3,415 | 4.90% |
セキュリティバンク | 6,991 | 1,248 | 20.10% | 5,220 | 4,304 | 4.15% |
民間上位銀行の2021年9カ月間の収益動向(単位:億ペソ)
銀行名 | 純金利収入 | 伸び率 | 帰属純利益 | 伸び率 | 純金利率 | ROE | ROA |
BDOユニバンク | 975.5 | -2.30% | 324.4 | 95.20% | 4.05% | 10.72% | 1.26% |
メトロバンク | 563.4 | -14.50% | 161.2 | 45.90% | 3.41% | 6.70% | 0.88% |
BPI | 511.7 | -5.60% | 174.8 | 2.10% | 3.31% | 8.25% | 1.07% |
PNB | 257.6 | -1.30% | 242.5 | 527.30% | 3.30% | 14.00% | 1.80% |
チャイナバンク | 282.2 | 13.30% | 111.7 | 35.40% | 4.18% | 13.63% | 1.45% |
RCBC | 211.6 | 7.60% | 53.4 | 33.40% | 4.11% | 6.83% | 0.87% |
ユニオンバンク | 220 | 2.60% | 106.6 | 25.60% | 4.60% | 13.30% | 1.80% |
セキュリティバンク | 204.9 | -12.40% | 48.3 | -27.50% | 4.37% | 5.20% | 0.95% |