個人向け融資、不良債権比率9.9%で近年最悪

住宅9.6%、自動車等12.7%、カード8%:9月末

2021/12/14

 フィリピン中央銀行(BSP)によると、2021年第3四半期末(9月末)のフィリピン銀行業界の個人向け総融資(CL)残高は前年同期末比(以下同様)2.4%減の1兆9,235億4,000万ペソだった。

 総融資残高(TLP)に対する個人向け総融資残高比率は18.45%と前期末、前年同期末から低下した。個人向け総融資(CL)不良債権(NPL)比率は9.90%で、詳細な記録が残る2009年第1四半期末以降の四半期末ベースでの最悪を記録した。長引く新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによる経済活動の低迷のなかで、特に個人の返済能力が疲弊していることが反映されている。

 融資対象別不良債権比率は、住宅不動産が9.58%、車両が12.70%(自動車12.81%、バイク11.15%)、クレジットカード債権が7.96%(各々の詳細は別掲)で、車両向け融資の不良債権比率が二桁となっていることが注目される。下表のとおり、銀行全体の不良債権比率は、このところ4%台の推移となっており、個人向けの不良債権比率は全体の2倍以上に達している。

 フィリピン銀行業界の個人向け融資動向   (単位:億ペソ)
項目 2020年9月末 2021年6月末 2021年9月末
個人向け総融資残高(CL) 19,715.05 19,408.42 19,235.40
個人向け融資NPL残高 1,678.38 1,914.45 1,903.43
貸倒引当金 815.05 957 902.45
総融資残高(TLP) 101,971.02 102,984.16 104,274.70
総不良債権残高(TNPL) 3,507.39 4,603.68 4,629.09
個人向け総融資の対TLP比率 19.33% 18.85% 18.45%
個人向け総融資NPLの対TNPL比率 47.85% 41.59% 41.12%
個人向け総融資NPL比率 8.51% 9.86% 9.90%
(出所:中央銀行資料より作成、注:銀行間融資除く)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)
年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 総融資残高貸倒引当比率
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20年末 108,726 3,949 3,672 3.63 92.98 3.38
21/1月 106,185 3,955 3,712 3.72 93.86 3.5
2月 105,793 4,313 3,736 4.08 86.64 3.53
3月 106,608 4,484 3,733 4.21 83.24 3.5
4月 106,493 4,637 3,778 4.35 81.48 3.55
5月 106,697 4,795 3,834 4.49 79.96 3.59
6月 107,757 4,830 3,978 4.48 82.36 3.69
7月 108,046 4,870 4,015 4.51 82.44 3.72
8月 108,988 4,919 4,108 4.51 83.52 3.77
9月 109,643 4,864 4,106 4.44 84.42 3.74
10月 109,597 4,840 4,134 4.42 85.41 3.77
(出所:BSP資料より作成、9月は改訂値)