住友鉱、比「コーラルベイ ニッケル」保有比率90%へ
三井物産と双日から36%を190億円で取得
2021/12/25
住友金属鉱山(住友鉱)、三井物産、双日の3社は、12月14日、フィリピンのニッケル製錬会社であるコーラルベイ ニッケル社(CBNC:本社:パラワン州)の株式の売買に合意し、12月24日に株式売買契約書を締結した」と発表した。
その発表によると、三井物産の100%子会社であるMitsui & Co. Mineral Resources Development (Asia) Corporation(MMRDA、本社:マニラ首都圏)と双日が保有するCBNC 株式の全て(それぞれ発行済株式の 18%。合計 36%)を、住友鉱に売却する。これにより、住友金属鉱山の保有割合は、現在保有する発行済株式の54%と合わせて90%となる。フィリピン側でのパートナーであるニッケル アジア(NAC、証券コード:NIKL、本社:マニラ首都圏タギグ市BGC)の保有割合に変更はない。なお、住友鉱はNACにも20%以上出資している。
売買予定額発行済株式の18%に対して約95億円、三井物産と双日の2社合計約190億円である。必要な許認可を取得することを前提に、2022年1月末を目途に売買を完了予定である。
CBNCは、2002年のプロジェクト開始当時から、住友金属鉱山・三井物産・双日の3社およびNAC の協力体制の下で運営されている。2005年の商業生産開始以降、世界に先駆けて HPAL法(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出法)による低品位ニッケル酸化鉱からのニッケル・コバルト回収を商業的に成功させるなど、大きな成果を上げた。今後、CBNCが当初計画していたプロジェクトライフである20 年の節目を迎えることから、事業パートナー間で今後の方針を協議した結果、今回の株式売買の合意に至ったものである。
なお、住友鉱のフィリピンでの事業基盤拡大、資源高度有効活用が進展している。世界のニッケル資源の確保には、低品位鉱石からのニッケル分の回収が必須となっている。上記のように、住友鉱は従来回収困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルおよびコバルトを回収する技術であるHPAの商業生産化に世界で初めて成功し、2005年からCBNで、ニッケル中間製品であるMS(ニッケル・コバルト混合硫化物)の生産を開始した。2009年4月にはCBNCにおける第2工場の垂直立ち上げを完了し、同社の生産能力を年間1万トンから2万4千トン(ニッケル量換算)へ増加させた。
このような実績を背景として、住友鉱はHPAL技術を用いたタガニート・プロジェクトを2013年に完成させ世界トップクラスのニッケル製錬メーカーの地位を固めた。タガニート・プロジェクトにおいては、傘下のタガニートHPAL社(THPAL)がミンダナオ島北東部タガニート地区にて、MS(ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算、以下同様)から3万6千トンへと高めている。THPALの資本金は40億9,500万ペソ、出資比率は住友鉱75%、NAC10%、三井物産15%となっている。
さらに、HPAL(High Pressure Acid Leach =高圧硫酸浸出)からの新たな有価金属の回収を事業化し、競争力強化に努めつつある。2018年度に、希土類元素(レアアース)の一つであるスカンジウムの生産を開始した。スカンジウム(元素記号:Sc)は希土類元素の一つで、アルミニウムの強度、耐熱性、耐食性を高めるための添加物、固体酸化物形燃料電池の電解質のほか、メタルハライドランプ、アルカリ電池の電極等に使用される。主にステンレス鋼の原料となるクロマイトの回収事業も開始されつつある。
住友金属鉱山は、CBNCのHPALプラントを今後も活用して鉱源確保を進め、EV向けを中心に需要拡大が見込まれるニッケル・コバルトの安定供給を推進していく。三井物産および双日は、事業ポートフォリオ再構築の一環として売却を実行するものである。三井物産は、引続き既存事業の価値最大化などを通じ、社会に不可欠な資源のひとつであるニッケル・コバルトを含む資源の安定供給を果たすと共に、低炭素・循環型社会の実現に取り組む。双日は、資源関連ビジネスでの変革を継続する一方、省資源化、循環型社会の実現に向けたリサイクル事業を注力テーマと位置づけ、より重要な領域に経営資源を集中させていくことが望ましいと判断したものである。
その発表によると、三井物産の100%子会社であるMitsui & Co. Mineral Resources Development (Asia) Corporation(MMRDA、本社:マニラ首都圏)と双日が保有するCBNC 株式の全て(それぞれ発行済株式の 18%。合計 36%)を、住友鉱に売却する。これにより、住友金属鉱山の保有割合は、現在保有する発行済株式の54%と合わせて90%となる。フィリピン側でのパートナーであるニッケル アジア(NAC、証券コード:NIKL、本社:マニラ首都圏タギグ市BGC)の保有割合に変更はない。なお、住友鉱はNACにも20%以上出資している。
売買予定額発行済株式の18%に対して約95億円、三井物産と双日の2社合計約190億円である。必要な許認可を取得することを前提に、2022年1月末を目途に売買を完了予定である。
CBNCは、2002年のプロジェクト開始当時から、住友金属鉱山・三井物産・双日の3社およびNAC の協力体制の下で運営されている。2005年の商業生産開始以降、世界に先駆けて HPAL法(High Pressure Acid Leach:高圧硫酸浸出法)による低品位ニッケル酸化鉱からのニッケル・コバルト回収を商業的に成功させるなど、大きな成果を上げた。今後、CBNCが当初計画していたプロジェクトライフである20 年の節目を迎えることから、事業パートナー間で今後の方針を協議した結果、今回の株式売買の合意に至ったものである。
なお、住友鉱のフィリピンでの事業基盤拡大、資源高度有効活用が進展している。世界のニッケル資源の確保には、低品位鉱石からのニッケル分の回収が必須となっている。上記のように、住友鉱は従来回収困難であった低品位のニッケル酸化鉱からニッケルおよびコバルトを回収する技術であるHPAの商業生産化に世界で初めて成功し、2005年からCBNで、ニッケル中間製品であるMS(ニッケル・コバルト混合硫化物)の生産を開始した。2009年4月にはCBNCにおける第2工場の垂直立ち上げを完了し、同社の生産能力を年間1万トンから2万4千トン(ニッケル量換算)へ増加させた。
このような実績を背景として、住友鉱はHPAL技術を用いたタガニート・プロジェクトを2013年に完成させ世界トップクラスのニッケル製錬メーカーの地位を固めた。タガニート・プロジェクトにおいては、傘下のタガニートHPAL社(THPAL)がミンダナオ島北東部タガニート地区にて、MS(ニッケル品位約57%)を年間3万トン(ニッケル量換算、以下同様)から3万6千トンへと高めている。THPALの資本金は40億9,500万ペソ、出資比率は住友鉱75%、NAC10%、三井物産15%となっている。
さらに、HPAL(High Pressure Acid Leach =高圧硫酸浸出)からの新たな有価金属の回収を事業化し、競争力強化に努めつつある。2018年度に、希土類元素(レアアース)の一つであるスカンジウムの生産を開始した。スカンジウム(元素記号:Sc)は希土類元素の一つで、アルミニウムの強度、耐熱性、耐食性を高めるための添加物、固体酸化物形燃料電池の電解質のほか、メタルハライドランプ、アルカリ電池の電極等に使用される。主にステンレス鋼の原料となるクロマイトの回収事業も開始されつつある。
住友金属鉱山は、CBNCのHPALプラントを今後も活用して鉱源確保を進め、EV向けを中心に需要拡大が見込まれるニッケル・コバルトの安定供給を推進していく。三井物産および双日は、事業ポートフォリオ再構築の一環として売却を実行するものである。三井物産は、引続き既存事業の価値最大化などを通じ、社会に不可欠な資源のひとつであるニッケル・コバルトを含む資源の安定供給を果たすと共に、低炭素・循環型社会の実現に取り組む。双日は、資源関連ビジネスでの変革を継続する一方、省資源化、循環型社会の実現に向けたリサイクル事業を注力テーマと位置づけ、より重要な領域に経営資源を集中させていくことが望ましいと判断したものである。