コロナ警戒レベル3への強化、1週間30億ペソ損失に

DBCCが共同声明、当面22年成長率予想7~9%継続

2022/01/10

 開発予算調整委員会(DBCC)は、1月7日、最近の新型コロナウイルス(COVID-19)感染急増に関する共同声明を発表した。DBCCは政府の経済関係部署の横断機関であり、マクロ経済目標決定の役割を担っている。インフレ目標は中央銀行金融委員会の方針に沿って、DBCCが最終決定することになっている。
 
 DBCCは、マニラ首都圏やブラカン、カビテ、ラグナ、リサールを含む近隣州におけるCOVID-19警戒レベル2から3への引き上げにより、1週間あたり約30億ペソの粗付加価値(GVA)損失が発生すると推定している。ただし、これは一時的な損失であり、新しいCOVIDバリアント(オミクロン変異株など)を考慮すると必要な調整であると判断している。現在、フィリピンは、ブースターショットのための十分なワクチンと資金を有し、病院の収容人数を増加させているうえ、オミクロン変異株は、ワクチン接種完了者に対してはそれほど重大な影響をもたらすことはないと見られており、深刻な影響が長くは続かないと見ている。

 そして、2021年末に成立した2022年度の国家予算と2021年度のGAAの延長は、新しいコロナ変異株や経済的ショックに対する国家の回復力を強化するのに役立つと見ている。したがって、現時点では、2022年の成長率予想(7.0%~9.0%)を継続する。ただし、ワクチン接種やブースターショットの促進、公衆衛生基準厳守が強く求められるとのこと。

 なお、1月27日に、2021年のGDP統計が発表される予定。その発表を受けて、2022年~2024年のGDP成長率予想や下表の様なマクロ経済予想の前提の見直しが行われると見られる。 前回のDBCC会議においては、ワクチン接種が進展し始めたことなど踏まえて、2021年のGDP成長率予想が、それまでの4.0%~5%から5.0%~5.5%へと上方修正された。2022年予想に関しては、これまでの7.0%~9.0%継続、2023年と2024年に関してもこれまでの6.0%~7.0%継続が決定された。

 現在のDBCCによるマクロ経済予想前提
マクロ経済指標  2021年  2022年  2023年  2024年
インフレ率 4.3-4.5% 2.0-4.0% 2.0-4.0% 2.0-4.0%
ドバイ原油価格(米ドル/1バレル) 68-70 60-80 60-80 60-80
外国為替レート(ペソ/米ドル) 49-50 48-53 48-53 48-53
物品輸出成長率(BPM6基準) 16.0% 6.0% 6.0% 6.0%
物品輸入成長率(BPM6基準) 30.0% 10.0% 8.0% 8.0%
(出所:NEDA資料より作成)