世界銀行、2021年の比GDP成長率を5.3%と推定

22年予想5.9%、23年は5.7%:世界経済見通し1月版

2022/01/13

 世界銀行は1月11日、「世界経済見通し(GEP)」2022年1月版を発行、「2021年に力強く回復した世界経済は、新型コロナウイルス感染症の変異株による新たな脅威と、インフレ率の上昇、債務そして所得格差の拡大が相まって大幅な減速局面に入っており、これら要因が、新興国及び途上国の回復を毀損する恐れがある」と指摘している。

 世界経済の成長率は、繰延需要の消失と世界規模での財政面・金融面の支援の縮小を受け、2021年の5.5%から、2022年は4.1%、そして2023年は3.2%と大きく鈍化すると予想されている。経済が減速する中、先進国と、新興国及び途上国の成長率の差が拡大すると予想されている。先進国の成長率は2021年の5%から2022年は3.8%、翌2023年には2.3%まで減速すると見られている。一方で、新興国・途上国の成長率は、2021年の6.3%から、2022年は4.6%、2023年には4.4%まで減速すると予想されている。2023年までには全ての先進国でGDPは完全に回復するが、新興国及び途上国ではパンデミック前のトレンドを4%下回った状態のままであると見られるとのことである。

 東アジア・大洋州地域:経済成長率は、2022年には5.1%に減速し、その後2023年には5.2%まで若干改善すると予想されている。そのなかで、フィリピンの成長率は、2021年は5.3%になったと推定され、2022年は5.9%、2023年5.7%と推定されている。下表のように、3年間とも、ASEANのなかでは高い成長率ではあるが、2020年がマイナス9.6%と最大の落ち込みを記録しており、その反動という要素もあり、回復ピッチはさほど良好とは言えないようである。

 東南アジア諸国等の実質GDP成長率推移(単位:%、推定と予想は世界銀行)
国・地域 2019年 2020年 2021年推 2022年予  2023年予  
世界全体 2.6 -3.4 5.5 4.1  3.2
  東アジア大洋州 5.8 1.2 7.1 5.1   5.2
    フィリピン 6.1 -9.6 5.3 5.9   5.7
    カンボジア 7.1 -3.1 2.2 4.5  5.5 
    インドネシア 5.0 -2.1 3.7 5.2  5.1
    ラオス 5.5 0.5 2.2 4.5  4.8
    マレーシア 4.4 -5.6 3.3 5.8  4.5
    ミャンマー 6.8 3.2 -18.0
    タイ 2.3 -6.1 1.0 3.9 4.3
    ベトナム 7.0 2.9 2.6 5.5 6.5 
    東ティモール 1.8 -8.5 1.9 3.7 4.3 
(出所:世界銀行資料より作成)