オカダ・マニラが増設、観光入国再開に期待

21年は24%増収もコロナ前424億ペソの半分以下

2022/02/17

 ユニバーサルエンターテインメント(UE)は、2月14日発表の2021年12月期決算短信において、フィリピンのマニラ・ベイ地区で展開している統合型リゾート(IR)施設『Okada Manila(オカダ・マニラ)』を運営するTiger Resort, Leisure and Entertainment, Inc.(TRLEI)の2021年12月期通期(1-12月)実績について説明した。すでに、1月に速報値が発表されているが、EBITDAなどが修整されている。

 それによると、TRLEIの2021年通期における総売上高は前年比(以下同様)24%増の196億9,600万ペソ。そのうち、カジノ収入は23%増の189億1,800万ペソ。調整後EBITDAは23億7,200万ペソ(速報では23億0,800万ペソ)の黒字に転換した(前年12億6,200万ペソの赤字)。カジノ収入(189億1,800万ペソ)の内訳は、VIPテーブルゲーム収入が16%増の96億2,000万ペソ、マステーブルゲームが27%増の38億1,400万ペソ、ゲーミングマシンが35%増の54億8,400万ペソだった。

 2021年の年間来場者数は12%増の184万6,031人と増加したが、ホテルの客室稼働率は75.4%と前年の83.0%を下回った。これは、ホテル棟増設で客室数が増加したことによる。

 2021年の業績は回復に転じたが、売上高は、新型コロナウイルスパンデミック直前の2019年の423億8,100万ペソに比べると半分以下、調整後 EBITDAは2019年の68億7,800万ペソの約分の1の水準にとどまっている。
 
 マニラ首都圏は、2021年1月から3月にかけて、規制が比較的緩和された「一般的コミュニティー隔離(GCQ)」下にあったが、感染力が強く重症化しやすい新型コロナウイルス「デルタ株」の世界的な蔓延により、4月、5月は「強化されたコミュニティー隔離(ECQ)」及び「修正版ECQ(MECQ)」と最も厳しい規制レベルに引き上げられた。その後、感染状況の変化に伴い、GCQに再度引き下げられたが、8月に感染が再拡大し、再びECQに厳格化された。

 しかし、フィリピン政府の積極的な新型コロナワクチン接種の展開と感染者の減少傾向により、2021年11月5日、マニラ首都圏の警戒レベルが「レベル2」に緩和された。それにより、カジノ運営は座席数の90%を上限、レストランの店内飲食は80%を上限、屋外飲食は100%を上限、ホテルの一般ゲストの宿泊は全面再開といった規制緩和に基づく運営になった。

 経済環境が不安定に推移する中、建設部門は作業を中断することなく進め、クリスマス前の2021年11月末にタワーB棟(客室467室、12タワーヴィラ)が完成した。また、19階のスカイラウンジ、15階のエグゼクティブラウンジ、3階の大型ビュッフェレストランAll Day Dinining、ファンクションルームも同11月末に完成し、クリスマスシーズンには2019年を上回る客室数を販売できた。

 政府が、2022年2月10日、日本を含む観光ビザ免除国からの旅行者の受け入れを一定条件下で開始したことから、同社は、オカダ・マニラの来訪者が増えると期待している。

 TRLEIカジノリゾート事業(オカダ・マニラ)実績(単位:百万ペソ、1ペソ=約2.25円)
項目 2019年 2020年 2021年
カジノ収益 39,794 15,325 18,918
 VIPテーブルゲーム 19,854 8,266 9,620
 マスマーケット・テーブルゲーム 9,645 3,001 3,814
 ゲーミングマシン 10,295 4,058 5,484
その他売上高(ホテル、飲食、小売他) 2,586 585 778
 
売上高合計 42,381 15,910 19,696
減価償却費 6,314 6,462 6,279
調整後 EBITDA* 6,878 -1,262 2,372
(出所:ユニバーサルエンターテインメント資料より作成)
*調整後EBITDA=営業損益+減価償却費及び償却費+その他の調整項目