東ソーの比子会社MVC、電解設備68%増強

苛性ソーダ等の需要拡大に対応、投資額14億円

2022/03/03

  東ソーのフィリピンにおける苛性ソーダなどの製造・販売子会社であるマブハイ ビニール コーポレーション(PSE上場、証券コード:MVC、本社:マカティ市)は、3月1日、PSE回覧01210-2022号にて、「イリガン工場(所在地:ミンダナオ島北ラナオ州イリガン市)の電解設備の生産能力を68%増強する。投資額は約6億3,000万ペソ(約14億円)」との情報開示を行った。

 MVCに87.975%を出資する東ソーによると、フィリピンの苛性ソーダ需要は、食品工業洗浄用途を中心に幅広い産業で需要が拡大しており、今後も堅調な成長が見込まれる。一方、塩素需要も、インフラ整備が進む上下水道の殺菌用途や、漂白剤用途等で需要が伸長している。このような環境下、MVCは、電解設備の生産能力を大幅増強することで、フィリピンにおける苛性ソーダおよび塩素誘導品の需要の拡大に対応し、安定供給体制の確立を図る。なお、三菱商事もMVCに6%出資するとともに、原料の塩類を供給してきている。

 現行の電解設備生産能力は、苛性ソーダ換算で年産1万9,000トンであるが、同1万3,000トン(68%)増強し、同3万2千トンとする計画である。増産完工は2023年11月と予定している。また、この電解設備増強計画では、電力および蒸気の消費量削減や、更なるエネルギー有効活用を併せて実施することで、二酸化炭素の排出量を増強前よりも削減する。

 MVCは1934年にマブハイラバー社として設立され、1960年に化学品、PVC製品事業を開始した。1965年から苛性ソーダ年産4千トンの生産能力で生産・販売を開始し、1966年に現在の社名に変更した。その後、フィリピンにおける苛性ソーダの需要拡大に伴い生産増強を行っており、フィリピン唯一の電解メーカーとして、その地位をより確固たるものとしてきている。現在の売上高の99%は苛性ソーダと塩素化合物で占められている。2020年末の従業員数は160名である。1997年2月5日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。東ソーは2015年にMVCを子会社化、2021年12月末の保有比率は87.975%となっている
 
 2021年9カ月の売上高は前年同期比(以下同様)1.9%増の15億4,503万ペソ、出荷増で増収となった。原材料価格上昇で原価が6%上昇したことで粗利益は3%減の6億5,910万ペソ、帰属純利益は8.2%減の2億1,869万ペソと小幅ながら減益なった。新型コロナウイルス感染再拡大や地域隔離措置の再強化という厳しい環境下で、出荷量が増加、底堅い業績推移だったといえよう。