RCBC堅調、2021年純利益41%増の71億ペソ

三井住友100億円出資等で自己資本比率15.2%に

2022/03/03

 ユーチェンコ財閥傘下有力銀行であるリサール商業銀行(RCBC)は3月1日、2021年の決算速報を発表した。それによると、2021年の純利益は前年比(以下、同様)41%増の71億ペソと大幅増益となった。特に、第4四半期の純利益は72%増の17億ペソへと急増した。

 主力の融資業務などによる純金利収入が9.7%増の288億ペソに達した。一方、売買益の減少で非金利収入は35%減の76億ペソにとどまった。純金利収入が好調であったことに加え、その他営業費用が2.2%増の225億ペソと小幅増にとどまったこと、減損処理が35%減の60億ペソにとどまったこと、税費用が51%減の7億ペソへと軽減されたこと等で大幅増益。自己資本利益率は(ROE)は6.7%、総資産利益率(ROA)は0.8%へと上昇した。

 2021年末の融資残高は9.6%増の5,383億ペソ。法人融資が15%増、中小企業向け融資が19%増と好調であった。個人向けは5%増だった。受入預金残高は25.5%増の6,725億ペソに達した。
 
 総資産は24.2%増の9,591億ペソ、自己資本は9.6%増の1,111億ペソに達した。2021年央の三井住友銀行による45億ペソ(約100億円)の4.99%出資がRBCBの資本基盤を一段と強化した。バーゼルⅢ基準でのリスク加味自己資本比率(CAR)は15.2%で中央銀行の最低基準10%をかなり上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も12.2%と良好。不良債権(NPL)比率はグロスベースで5.45%、ネットベースで3.30%。

 RCBCはデジタル化や環境保全型事業を推進している。2021年9月には、金融機関の投融資を通じた間接的な温室効果ガス排出量を計測・開示するための取り組みを行う国際的なイニシアティブ「Partnership for Carbon Accounting Financials(PCAF)」に、フィリピンの銀行として初めて加盟した。これにより、融資と投資によって間接的に排出される温室効果ガス(GHG)排出量を開示する。また、ASEANグリーンボンド基準に沿ったグリーン・ファイナンス(環境関連金融)フレームワーク(1,000億ペソ)を設定、このフレームワークのもとで、これまで7回グリーンボンドを発行、合計868億ペソが調達された。
 
 RCBCはフィリピンの有力財閥ユーチェンコグループ傘下の中核企業。ファーストシニアバイスプレジデントの松本康宏氏ら日本人駐在員3名を含む総勢40名超の日本企業部はフィリピン民間商業銀行でも有数の規模である。日系企業800社超と取引を有し、主要工業団地に支店を開設するなど、日系企業に対し充実した金融サービスを提供している。2021年12月末現在、RCBCは全国に434支店、現金自動預払機(ATM)1,245台、1,589のATM Goターミナルを有している。