日清の即席麺合弁事業、コロナ禍で最高益更新続く
21年の純利益7%増の9.6億ペソ、5年間で倍増
2022/04/01
日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。
新型コロナウイルス禍のなかでニッシンURCの業績が好調に推移している。3月31日に発表されたURCの2021年(1月~12月)事業報告書によると、表1のように、ニッシンURCの2021年の売上高は前年比(以下同様)8%増の79億6,800万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は2%増の15億0,700万ペソ、純利益は7%増の9億6,000万ペソで増収増益決算となった。2021年は、比較となる前年が新型コロナパンデミックによる巣篭り需要など17%増収25%増益と絶好調であったこと、原材料費や流通コスト増加などで一桁増益であったが、好業績を継続したといえよう。
フィリピンにおけるカップ麺需要の拡大を背景に、表2のように近年のニッシンURCの業績は増収増益が続いてきている。2020年以降は新型コロナウイルス感染対策としての地域隔離措置の下での外出・移動制限措置や外食事業規制のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、業績向上に拍車がかかった。2021年の売上高は、5年前(2016年)比83%増加、純利益は102%増加(約2倍)に拡大した。売上高、純利益ともに過去最高更新が続いている。
表1.ニッシンURCの年間業績推移(単位:百万ペソ)
(出所:URC年次報告書から作成)
東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、近年の継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額が堅調に推移している。世界ラーメン協会(本部:大阪府池田市、事務局:東京都新宿区新宿)発表によると、表2の様に、フィリピンの2020年の即席麺の総需要は前年比16%増の44億7,000万食で世界第7位、ASEANではインドネシアとベトナムに続く第3位の市場となっている。16%増という伸び率は、主要市場ではベトナムの29.5%増に次ぐ第2位の伸び率であった。
特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売は好調に推移している。また、メリエンダ(おやつ)の習慣があるためミニサイズのカップ麺も親しまれている。そして、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続け、上記のようにニッシンURCは増収増益を続けている。
なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)である。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。モンデ ニッシンは、2021年6月7日にフィリピン証券取引所(PSE)メインボードに新規上場した。
表2.インスタントラーメンの世界総需要と上位10市場(単位:億食)
(出所:世界ラーメン協会資料より作成)
新型コロナウイルス禍のなかでニッシンURCの業績が好調に推移している。3月31日に発表されたURCの2021年(1月~12月)事業報告書によると、表1のように、ニッシンURCの2021年の売上高は前年比(以下同様)8%増の79億6,800万ペソ、EBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は2%増の15億0,700万ペソ、純利益は7%増の9億6,000万ペソで増収増益決算となった。2021年は、比較となる前年が新型コロナパンデミックによる巣篭り需要など17%増収25%増益と絶好調であったこと、原材料費や流通コスト増加などで一桁増益であったが、好業績を継続したといえよう。
フィリピンにおけるカップ麺需要の拡大を背景に、表2のように近年のニッシンURCの業績は増収増益が続いてきている。2020年以降は新型コロナウイルス感染対策としての地域隔離措置の下での外出・移動制限措置や外食事業規制のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、業績向上に拍車がかかった。2021年の売上高は、5年前(2016年)比83%増加、純利益は102%増加(約2倍)に拡大した。売上高、純利益ともに過去最高更新が続いている。
表1.ニッシンURCの年間業績推移(単位:百万ペソ)
項目 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 前年比 |
売上高 | 4,361 | 5,103 | 5,815 | 6,345 | 7,406 | 7,968 | +8% |
EBITDA | 777 | 890 | 975 | 1,156 | 1,472 | 1,507 | +2% |
純利益 | 475 | 559 | 603 | 717 | 893 | 960 | +7% |
総資産 | 2,281 | 2,686 | 2,583 | 2,583 | 3,358 | 3,537 | +5% |
東南アジア地域は、麺食文化がもともと存在することに加え、近年の継続的な経済成長による即席麺の消費量・販売額が堅調に推移している。世界ラーメン協会(本部:大阪府池田市、事務局:東京都新宿区新宿)発表によると、表2の様に、フィリピンの2020年の即席麺の総需要は前年比16%増の44億7,000万食で世界第7位、ASEANではインドネシアとベトナムに続く第3位の市場となっている。16%増という伸び率は、主要市場ではベトナムの29.5%増に次ぐ第2位の伸び率であった。
特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「Cup Noodles」の販売は好調に推移している。また、メリエンダ(おやつ)の習慣があるためミニサイズのカップ麺も親しまれている。そして、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続け、上記のようにニッシンURCは増収増益を続けている。
なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)である。社名には「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。モンデ ニッシンは、2021年6月7日にフィリピン証券取引所(PSE)メインボードに新規上場した。
表2.インスタントラーメンの世界総需要と上位10市場(単位:億食)
順位 | 国/地域 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 |
1 | 中国/香港 | 404.3 | 385.2 | 389.6 | 402.5 | 414.5 | 463.5 |
2 | インドネシア | 132.0 | 130.1 | 126.2 | 125.4 | 125.2 | 126.4 |
3 | ベトナム | 48.0 | 49.2 | 50.6 | 52.0 | 54.3 | 70.3 |
4 | インド | 32.6 | 42.7 | 54.2 | 60.6 | 67.3 | 67.3 |
5 | 日本 | 55.4 | 56.6 | 56.6 | 57.8 | 56.3 | 59.7 |
6 | 米国 | 40.8 | 41.2 | 41.3 | 45.2 | 46.3 | 50.5 |
7 | フィリピン | 34.8 | 34.0 | 37.5 | 39.8 | 38.5 | 44.7 |
8 | 韓国 | 36.5 | 38.3 | 37.4 | 38.2 | 39.0 | 41.3 |
9 | タイ | 30.7 | 33.6 | 33.9 | 34.6 | 35.7 | 37.1 |
10 | ブラジル | 23.7 | 23.7 | 22.5 | 23.9 | 24.5 | 27.2 |
世界合計 | 974.9 | 975.2 | 1,001.1 | 1,036.2 | 1,064.2 | 1,165.6 |