19日に中央銀行0.25%利上げ決定、3年半ぶり

インフレ高進対応策、6月23日の次回会合も注目

2022/05/20

  フィリピン中央銀行は(BSP)は、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。5月19日、2022年3回目のMB政策定例会合が開催された。

 今年3回目のMB政策定例会合では、2018年11月15日以来3年半ぶりに政策金利体系の0.25%引き上げが決定された。すなわち、主要政策翌日物借入金利(RRP)2.25%を中心とする1.75%~2.75%という金利コリドーに移行されることになった。これまでは、2016年に中央銀行が金利コリドー制を導入して以降の最低水準であるRRP2.00%を中心とする1.50%~2.50%という金利コリドーが、2020年12月17日以来11会合連続で継続されてきたが、今回、インフレ高進対応策として小幅ながら引き上げが決定された。

 5月5日に発表された2022年4月の消費者物価指数(CPI、2018年=100)は4.9%となり、現行基準(2018年基準)で最高となり、2018年12月の5.1%(2012年基準)以来、40カ月ぶりの高水準となった。そして、2022年のインフレ目標(消費者物価上昇率2~4%)達成が一段と困難になりつつある。BSPも5月19日に、2022年の年間インフレ率予想をこれまでの4.3%から4.6%へと更に上方修正した。2023年予想についても、同じく3.6%から3.9%へと更に上方修正、インフレ目標の上限に急接近すると見ている。

 MBは今回の政策金利の引き上げを決定するにあたり、インフレ率予想が3月時点から一段と高まり、インフレ圧力の上昇が続く可能性があることを重視した。原油価格高騰、国内の豚肉と魚の継続的不足、一部の地域での予想よりも高い最低賃金引き上げなど、インフレ圧力要因は多い。したがって、インフレ圧力やインフレ期待を緩和するための利上げを決定した。

 第1四半期のGDP成長率が8.3%に達するなど景気回復が引き続き勢いを増すなか、BSPは、これまでの異例ともいえる大規模な量的緩和策の段階的な縮小と金融政策正常化に向けて動く方針でもある。今後、BSPは物価や金融システムの安定性目標に沿って、データに基づき、追加措置を講じていく方針である。

 次回のMB政策定例会合は、6月23日に開催予定である。6月14日~15日に開催される米国連邦公開市場委員会(FOMC)後間もなくの開催であり、非常に注目される会合となる。BSPは、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。2022年のMB定期政策会合は、2月17日、3月24日、5月19日、6月23日、8月18日、9月22日、11月17日、12月15日に開催と予定されている。


 フィリピンのインフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年予  2023年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  N.A.   2.4%  2.4%  3.9%  4.6%  3.9% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%
(出所:PSA資料などより作成、2022年と2023年予想はBSPの5月19日時点の予想)