中国が比鉄道事業への融資白紙に、過去にも頓挫の事例
比は他国との交渉も検討、中国年利3%で日本0.1%とも強調
2022/07/17
フィリピン運輸省(DOTr)チャベス鉄道担当次官は、7月15日、「前ドゥテルテ政権のもとで合意された中国によるフィリピンの主要鉄道プロジェクト3件への融資に関しては、中国側の具体的な動きが見られず、融資合意は撤回されたと見做される」と表明した。
チャベス次官は、「撤回されたと見做される鉄道事業融資に関して、フィリピン政府は中国政府との再交渉のほか、他の国との交渉を検討している。中国は融資に際して年利3%を要求、日本の融資条件である年利0.1%(コンサルタント部分は0.01%)を大きく上回る」とも説明した。なお、グロリア・アロヨ政権時代に中国輸出入銀行の融資合意で開始されたマニラ首都圏~ブラカン州マロロス間の鉄道建設プロジェクトが途中で頓挫、中国側が事業放棄・撤収という事例もある。この鉄道事業は、現在、日本支援で推進されている。
チャベス次官の表明を受け、在フィリピン中国大使館は融資撤回に関しては直接言及せず、「中国の強みを活用しフィリピンのインフラ改善を継続支援する。中国はフィリピン新政権と緊密に連絡を取りながら、政府間プロジェクトに関する技術的議論を受け入れており、協力を進める準備ができている」とコメントした。なお、今回の中国に融資撤回の動きは、南シナ海領有権問題に関するフィリピン新政権の強硬な姿勢に対する中国側の対抗措置である可能性があるとも報じられている。
今回、中国が融資を撤回したと見做されるのは、スービック⇔クラーク鉄道事業(推定コスト500億3,000万ペソ)、南部長距離鉄道(別名PNRビコール鉄道)事業ラグナ州カランバ~アルバイ州ダラガ間(推定コスト1,750億ペソ)、ミンダナオ鉄道第1期事業(推定コスト829億ペソ)である。ドゥテルテ前政権のもとで、これら3事業へ中国が融資することで合意されていた。
スービック⇔クラーク鉄道事業は、スービック湾自由港区とクラーク自由港区を接続する71.13kmの貨物鉄道敷設事業である。事業主体は運輸省、基地転換開発庁(BCDA)、推定総事業費は500億3,000万ペソ(内ODAでの調達425億3,000万ペソ)。当初は、2019年に着工、2022年第4四半期に完工と予定されていたが、着工、完工時期とも大幅に遅れている。
PNRビコール鉄道は、首都圏マニラ市からルソン島最南端のソルソゴン州マトノグまでの本線とバタンガス州バタンガス市までの支線合計639キロメートルの鉄道事業。PNRの既存線の改修・近代化と新線建設の組み合わせで実施される。PNRビコール鉄道のうちラグナ州カランバからアルバイ州ダラガまでの380キロメートルの区間(推定コスト1,420億ペソ)を中国が支援することで合意されている。この区間は、2つの地域、4つの州、39の市町村にまたがり、23の駅、230の橋梁、10のトンネル、70ヘクタールのデポの建設などが含まれる大プロジェクトとなる。
ミンダナオ鉄道第1期事業(タグム₋ダバオ₋ディゴス区間、約100キロメートル)も中国が支援することで合意されているが、同事業が承認された2017年6月央時点では、推定コストは352億6千万ペソ、着工は2018年第1四半期、完工は2022年と想定されていた。しかし、2019年央に、推定コストは829億ペソと3.2倍に拡大、着工時期も2020年へ、更には2021年第1四半期へと延期がくり返されてきた。そして、2022年第1四半期においても着工されず、ドゥテルテ政権下での着工の可能性はなくなり、新政権に委ねられることになってしまった。
チャベス次官は、「撤回されたと見做される鉄道事業融資に関して、フィリピン政府は中国政府との再交渉のほか、他の国との交渉を検討している。中国は融資に際して年利3%を要求、日本の融資条件である年利0.1%(コンサルタント部分は0.01%)を大きく上回る」とも説明した。なお、グロリア・アロヨ政権時代に中国輸出入銀行の融資合意で開始されたマニラ首都圏~ブラカン州マロロス間の鉄道建設プロジェクトが途中で頓挫、中国側が事業放棄・撤収という事例もある。この鉄道事業は、現在、日本支援で推進されている。
チャベス次官の表明を受け、在フィリピン中国大使館は融資撤回に関しては直接言及せず、「中国の強みを活用しフィリピンのインフラ改善を継続支援する。中国はフィリピン新政権と緊密に連絡を取りながら、政府間プロジェクトに関する技術的議論を受け入れており、協力を進める準備ができている」とコメントした。なお、今回の中国に融資撤回の動きは、南シナ海領有権問題に関するフィリピン新政権の強硬な姿勢に対する中国側の対抗措置である可能性があるとも報じられている。
今回、中国が融資を撤回したと見做されるのは、スービック⇔クラーク鉄道事業(推定コスト500億3,000万ペソ)、南部長距離鉄道(別名PNRビコール鉄道)事業ラグナ州カランバ~アルバイ州ダラガ間(推定コスト1,750億ペソ)、ミンダナオ鉄道第1期事業(推定コスト829億ペソ)である。ドゥテルテ前政権のもとで、これら3事業へ中国が融資することで合意されていた。
スービック⇔クラーク鉄道事業は、スービック湾自由港区とクラーク自由港区を接続する71.13kmの貨物鉄道敷設事業である。事業主体は運輸省、基地転換開発庁(BCDA)、推定総事業費は500億3,000万ペソ(内ODAでの調達425億3,000万ペソ)。当初は、2019年に着工、2022年第4四半期に完工と予定されていたが、着工、完工時期とも大幅に遅れている。
PNRビコール鉄道は、首都圏マニラ市からルソン島最南端のソルソゴン州マトノグまでの本線とバタンガス州バタンガス市までの支線合計639キロメートルの鉄道事業。PNRの既存線の改修・近代化と新線建設の組み合わせで実施される。PNRビコール鉄道のうちラグナ州カランバからアルバイ州ダラガまでの380キロメートルの区間(推定コスト1,420億ペソ)を中国が支援することで合意されている。この区間は、2つの地域、4つの州、39の市町村にまたがり、23の駅、230の橋梁、10のトンネル、70ヘクタールのデポの建設などが含まれる大プロジェクトとなる。
ミンダナオ鉄道第1期事業(タグム₋ダバオ₋ディゴス区間、約100キロメートル)も中国が支援することで合意されているが、同事業が承認された2017年6月央時点では、推定コストは352億6千万ペソ、着工は2018年第1四半期、完工は2022年と想定されていた。しかし、2019年央に、推定コストは829億ペソと3.2倍に拡大、着工時期も2020年へ、更には2021年第1四半期へと延期がくり返されてきた。そして、2022年第1四半期においても着工されず、ドゥテルテ政権下での着工の可能性はなくなり、新政権に委ねられることになってしまった。