三井住友建設、マニラ地下鉄03工区272億ペソで落札

清水建設連合、東急建設連合、三菱商事等に次ぐ受注へ

2022/09/30

 フィリピン初の地下鉄プロジェクトである日本支援の「マニラ首都圏地下鉄事業フェーズ1」建設が推進されつつある。

 日本が支援するマニラ地下鉄フェーズ1は、増加加する輸送需要への対応を図り、マニラ首都圏の深刻な交通渋滞の緩和に資するとともに、大気汚染や気候変動緩和に寄与するものであり、北部ケソン市とニノイ・アキノ国際空港が位置する南部パラニャーケ市を結ぶフィリピン初となる地下鉄(全17駅、内地下区間13駅、約36キロメートル)プロジェクトである。地下鉄対象区間の移動時間は、現行の自動車で約2時間から、地下鉄利用により約40分に短縮されることが見込まれている。

 フィリピン運輸省は、9月23日、マニラ首都圏地下鉄事業フェーズ1における契約パッケージ03工区(CP03)に関して、三井住友建設(本社:東京都中央区)へ落札通知を発出したとのことである。CP03はケソン市アノナスとカティプナンの駅舎と同区間のシールドトンネル建設という事業である。落札額は、211億4,000万ペソと149億5,000万円(約60億8,000万ペソ)、合計で約272億ペソである。国際協力機構(JICA)承認などを前提に、三井住友建設が受注することになる。

 なお、三井住友建設(本社:東京都中央区)は、フィリピン鉄道事業では、2019年1月、南北通勤鉄道事業(マロロス-ツツバン)CP2工区を受注などの実績がある。同CP2工区は、首都圏マニラ市と周辺都市を南北軸によって結ぶ「南北通勤鉄道計画」のうち、北方のブラカン州マロロス市から首都圏マニラ市ツツバンまでの区間を整備するものである。これにより、マニラ首都圏の交通ネットワークの円滑化が見込まれる。当プロジェクトは、総延長約38kmの高架型鉄道を建設するもので、その内、三井住友建設受注のCP2工区は、北側起点駅(マロロス駅)を含む3カ所の駅舎と14kmの高架橋建設を担当する。

 なお、「マニラ首都圏地下鉄事業フェーズ1」建設では、これまで、清水建設、フジタ、竹中シビルエンジニアリング、ユーチェンコ財閥傘下のフィリピン有力建設企業であるEEI (証券コード:EEI)で構成される4社連合が、3駅舎(タンダンソラ駅、キリノハイウェイ駅、ノースアベニュー駅)と1車両基地、それらを結ぶ3区間のシールドトンネル工事を計1,040億円で受注している。

 また、東急建設、飛島建設、メガワイドコンストラクション(メガワイド、証券コード:MWIDE)の3社連合が、オルティガスノース駅とオルティガスサウス駅の2駅舎建設、両駅舎を結ぶシールドトンネル工事を132億6,130万ペソと112億2,750万円で落札している。

 さらに、三菱商事が、今年2月14日、「フィリピン運輸省(DOTr)より、マニラ首都圏地下鉄向け鉄道システム一式の納入を受注した」と発表した。三菱商事は、マニラ地下鉄向けに鉄道システム一式(軌道、信号・通信設備、受配電設備、電車線、自動改札機、ホームドア等)を設計・製造・据付し、DOTrに納入する。受注金額は約1,400億円で、完成は2028年頃を見込んでいる。