サンミゲル、イーグルセメント買収を決議

970億ペソの案件、競争委員会の承認前提

2022/10/05

多角化やM&Aを積極推進しフィリピンを代表するコングロマリットとなったサンミゲル(証券コード:SMC)は、10月4日の取締役会において、大手上場セメント企業であるイーグルセメント(証券コード:EAGLE)を買収することを決議した。

 具体的には、サンミゲルは、イーグルセメントの株式88.5%を1株当たり22.02ペソ、総額約970億ペソで取得する。この88.5%はイーグルセメントの大株主であるファーイースト ホールディングス(FEH)等から取得する。ただし、サンミゲルも既にフィリピンのセメント業界の主要企業の1社でもあり、競争委員会(PCC)等の承認が前提となる。なお、10月4日のイーグルセメント終値は15.40ペソであった。

  また、サンミゲルのラモン・アン社長兼CEOは、イーグルセメントの会長や主要株主でもあり、FEHを支配している。また、子息のジョン・ポール・アン氏はイーグルセメントの社長兼CEOである。


 イーグルセメントは、下表のように、PSE上場のセメント企業の中で収益力が断トツである。2022年上半期の収入は23.7%増の137億ペソに達し、比ホルシムの122億ペソ、比セメックスの107億ペソを上回った。純利益は19.8%減の30億ペソと二桁減となったが、売上高純利益率21.7%となり、収入、純利益額、売上高純利益率ともにトップの座を維持した。

 
上場セメント企業3社の2022年上半期決算動向 (単位:百万ペソ)
企業名 収入 伸び率 純利益 伸び率 純利益率
ホルシム フィリピン 12,170 -10.9% 661 -59.4% 5.4%
セメックス フィリピン 10,675 -2.0% -267 赤字転落 -2.5%
イーグルセメント  13,680 23.7% 2,966 -19.8% 21.7%
(出所:各社の事業報告書などより作成)