比銀行業界の不良債権比率、1月末3.28%に

28カ月ぶり低水準の前月3.16%から小幅上昇

2023/03/08

 フィリピン中央銀行(BSP)のデータによると、2023年1月末のフィリピン銀行業界の総融資残高に占める総不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は3.28%で、前月末の3.16%から0.12%ポイント上昇し、2022年2月以来11カ月ぶりの上昇となった。前年同月末の4.14%からは0.86%ポイント低下した。不良債権(NPL)貸倒引当率は106.26%と前月末から低下したが、前年同月末からは上昇した。

 総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は2.33%で、前月末の2.24%から上昇したが、前年同月末の2.76%からは低下した。一方、不良資産(NPA)貸倒引当率は87.42%で前月末から低下、前年同月末からは上昇した。

 フィリピン銀行業界の不良債権・不良資産比率など(月末値、単位:%)
項目 2022年1月 2022年12月 2023年1月
総融資に占める総不良債権(NPL)比率 4.14 3.16 3.28
NPL貸倒引当比率 87.27 107.00 106.26
総融資残高(TLP)貸倒引当比率 3.62 3.38 3.49
総資産に占める不良資産(NPA)比率 2.76 2.24 2.33
不良資産(NPA)貸倒引当比率 75.29 87.87 87.42
(出所:BSP資料より作成)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)
年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 TLP貸倒引当比率
13年末 48,970 1,355 1,609 2.77 118.69 3.29
14年末 58,324 1,348 1,616 2.31 119.83 2.77
15年末 65,273 1,365 1,616 2.09 118.42 2.48
16年末 76,121 1,442 1,728 1.89 119.89 2.27
17年末 88,656 1,530 1,843 1.73 120.44 2.08
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20年末 108,726 3,949 3,672 3.63 92.98 3.38
21年末 113,911 4,525 3,968 3.97 87.70 3.48
22年末 126,251 3,988 4,267 3.16 107.00 3.38
23/1月 123,480 4,051 4,305 3.28 106.26 3.49
(出所:BSP資料より作成)

 フィリピン銀行業界の対リスク資産自己資本比率(CAR、単独ベース、単位:%)
2021年 2022年
3月末 6月末 9月末 12月末 3月末 6月末 9月末
16.90 17.17 17.10 16.66 16.47 16.17 15.84
(出所:BSP資料より作成)