中央銀行、3月23日に0.25%の追加利上げを決定

翌日物借入金利6.25%に、約16年ぶりの高水準

2023/03/23

   フィリピン中央銀行は(BSP)は、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。3月23日に2023年2回目のMB政策定例会合が開催された。

 今年2回目のMB政策定例会合では、政策金利体系の0.25%の追加引き上げが決定された。すなわち、主要政策金利である翌日物借入金利(RRP)6.25%を中心とする5.75%~6.75%という金利コリドーに移行されることになった。この追加利上げは、3月24日から実施される。2月16日開催の今年最初のMB政策定例会合で決定された追加利上げ幅0.50%よりは小幅となったが、2022年5月以降の累計利上げ幅は4.25%に達した。そして、RRPは20007年5月以来、約16年ぶりの高水準となった。

 2月の総合インフレ率(消費者物価指数{2018年=100}の前年同月比)が8.6%となり、14年以上ぶりの高水準であった前月(1月)の8.7%から僅かに減速したものの、4カ月連続の8%台となった。また、コアインフレ率は7.8%へと更に加速(前月7.4%)した。2023年年初2カ月の平均総合インフレ率は8.6%で、政府の2022年のインフレ目標(2.0%~4.0%)の上限をかなり超えている。BSPは、3月23日、2013年の平均総合インフレ率予想をこれまでの6.1%から6.0%へと僅かに下方修正したが、高インフレが続くという見方に変わりはない。

 このようにフィリピンのインフレ圧力やインフレ期待は依然として強く、交通運賃や電気料金の値上げ、賃上げ圧力の高まり、食量の供給不足懸念などインフレ上振れリスクもある。BSPはインフレ率を出来るだけ早くインフレ目標圏内に戻すためには積極的な金融行動をとる必要があると判断、米国と同幅の追加利上げが決定された。

 フィリピンのインフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年  2023年予  2024年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  5.2% 2.4%  2.4%  3.9%  5.8%  6.0%  2.9% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%
 (出所:PSA資料などより作成、2023年以降の予想はBSPの2023年3月23日時点の予想)