フィリピン訪問者が大幅増加、23年5カ月間で225万人に

年間目標480万人(81%増)超えペース、24年完全回復へ

2023/06/27

 観光省(DOT)によると、2023年年初5カ月の海外からのフィリピン訪問者数は225万3,214人であった。そのうち、海外在住フィリピン国籍保有者(比人海外労働者を除く)は18万9,626人で全体の8.4%を占めた。前年は2月10日からワクチン接種等の要件を満たす外国人の商用・観光目的の来比受け入れを再開したが、入国規制は続けられた。一方、2023年は規制が解除され、外国人観光客の数も増えてきた。

 国籍別第1位は、韓国人で55万2,349人、訪問者全体の24.5%を占めた。2位は米国人で40万0,720人(シェア17.8%)、3位はオーストラリア人で11万4,189人、4位は日本人で10万9,381人(シェア4.9%)、5位はカナダ人で10万8,352人であった。

 なお、2022年年間のフィリピン訪問者数は前年比約16倍の265万人3,858万人で目標の170万人を大幅に上回った。そして、新型コロナウイルスパンデミックの影響による2020年、2021年の大不振からは回復傾向を辿っている。ちなみに、ボトムの2021年は前年比89%減の16万3,879人へと激減した。

 DOTは、2023年のフィリピン訪問外客数は81%増の480万人に達し、2年連続で大幅増加すると予想している。年初5カ月間実績も年間目標を上回りそうなペースで推移している。しかし、新型コロナウイルスパンデミック直前の2019年に記録した826万人という過去最高記録を更新するのは2024年、すなわち完全回復するのは2024年と見ている。

 2023年年初5カ月のフィリピン訪問者国別動向(上位12カ国) 6月1日時点
順位 国名 1月 2月 3月 4月 5月 1-5月 シェア
1 韓国 126,263 126,692 106,744 94,217 98,433 552,349 24.5%
2 米国 87,440 85,917 80,284 75,830 71,249 400,720 17.8%
3 豪州 23,731 20,723 23,715 26,966 19,054 114,189 5.1%
4 日本 15,178 23,013 26,356 23,655 21,179 109,381 4.9%
5 カナダ 24,660 23,319 22,287 20,844 17,242 108,352 4.8%
6 中国 9,648 14,904 19,281 25,076 18,071 86,980 3.9%
7 台湾 18,040 12,991 13,513 14,603 11,096 70,243 3.1%
8 英国 12,886 12,049 17,831 15,451 10,611 68,828 3.1%
9 シンガポール 10,020 11,403 14,433 13,762 11,602 61,220 2.7%
10 マレーシア 6,994 8,730 9,461 8,992 8,003 42,180 1.9%
11 香港 9,903 4,658 6,249 11,729 5,283 37,822 1.7%
12 ドイツ 7,282 7,775 10,015 7,513 4,434 37,019 1.6%
 
外国人観光客合計 425,188 431,695 436,292 417,320 353,093 2,063,588 91.6%
在外フィリピン人 38,980 34,337 39,351 40,763 36,195 189,626 8.4%
総合計 464,168 466,032 475,643 458,083 389,288 2,253,214 100.0%
(出所:観光省資料より作成 注:在外フィリピン人とはOFW除く比国籍保持者)

 
フィリピン訪問外客数の推移
2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 2013予
訪比外客数(万人) 536 597 662 717 826 148 16  265  480 
年間成長率(%) N.A. 11.3 11.0 8.3 15.2 -82.1 -89.0  1,517.0 81.1 
(出所:フィリピン観光省資料より作成、予想はフィリピン観光省)

 なお、フィリピン統計庁(PSA)によると、2022年の旅行・観光直接粗付加価値額(TDGVA:名目ベース、以下同様)は前年比36.9%増の1兆3,758億ペソとなった。しかし、直近のピークの2019年の2兆5,086億ペソの54.8%にとどまっている。

 2022年の業界成長率は、新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミック発生で非常に不振であった2020年のマイナス63.4%からは大きく改善した。現行基準での集計開始以降の23年間で最高の伸び率となった。しかし、名目GDP(国内総生産)に対する寄与度は6.2%で、2021年から1.0%ポイント上昇したが、2019年の12.9%の半分以下にとどまっている。上記のように、規模も約半分強に過ぎず、依然回復途上といえよう。

 観光直接粗付加価値(TDGVA)とGDP(名目価格)(単位:百万ペソ)
TDGVA 成長率 GDP 成長率 対GDP比率
2011 694,484 18.3% 10,144,661 7.9% 6.8%
2012 851,869 22.7% 11,060,589 9.0% 7.7%
2013 974,302 14.4% 12,050,592 9.0% 8.1%
2014 1,169,216 20.0% 13,206,828 9.6% 8.9%
2015 1,380,042 18.0% 13,944,157 5.6% 9.9%
2016 1,575,417 14.2% 15,132,381 8.5% 10.4%
2017 1,944,193 23.4% 16,556,651 9.4% 11.7%
2018 2,238,961 15.2% 18,265,190 10.3% 12.3%
2019 2,508,644 12.0% 19,517,863 6.9% 12.9%
2020 917,196 -63.4% 17,951,574 -8.0% 5.1%
2021 1,004,814 9.6% 19,410,614 8.1% 5.2%
2022 1,375,752 36.9% 22,024,515 13.5% 6.2%
(出所:PSA資料より作成、2021年は改訂値)