比セブンーイレブン、連続で過去最高益更新見込み

コロナ禍から急回復、今年400出店で断トツの3,800店に

2023/07/21

 フィリピンのコンビニエンスストア(コンビニ)首位のフィリピン セブン-イレブン(比セブン-イレブン)は、台湾系のプレジデント・チェーンストア(ラブアン)ホールディングスが55.322%(2023年3月末現在)を保有するフィリピン セブン社(証券コード:SEVN)によって運営されている。

 SEVNは、2023年7月20日に年次株主総会を開催した。SEVNのホセ・ビクター・パテル社長兼最高経営責任者(CEOは)その後のインタビューで、「2022年は過去最高益を更新したが、2023年は引き続き記録的な年になるであろう」とコメントした。

 近年急成長を続けてきたSEVNは新型コロナウイルス(COVID-19)パンデミックで急ブレーキがかかり2020年、2021年と2年連続で赤字決算、店舗増加数も2020年は114店、2021年は95店にとどまった。しかし、下表のように2022年の業績は急回復、純利益は20億5,700万ペソに達し、3年ぶりの黒字に回復するばかりでなく、過去最高益を大幅更新した。店舗数も320店増加し、業界断トツの3,393店に達した。

 2023年に入ってもSEVNの業績は大幅続伸基調。SEVNの2023年第1四半期(1月~3月)のグループ総売上高は前年同期比(以下同様)35.5%増の184億ペソに達した。既存店売上高は23.3%増加した。営業収入は36.3%増の175億ペソ、営業利益は89.5%増の8億5,370万ペソ、そして純利益は165%増(約2.7倍)の5億2,760万ペソと大幅増収増益。そして、収益ともに、新型コロナパンデミック前の水準を大幅に上回った。純利益は2019年第1四半期の1億1,220万ペソから約4.7倍に拡大した。

 このような状況下で、SEVNは出店ピッチを再び高める方針であり、2023年は35億ペソ~40億ペソを投じて400店を出店する計画である。すなわち、2023年末には業界断トツの約3,800店を目指している。そして、2026年に5,000店到達を目標としている。比セブン-イレブンの2023年3月末の店舗数は3,453店、2022年末の3,393店から60店、率にして1.8%の純増となった。2023年第1四半期に67店をオープン、7店を閉鎖した。1年前の2022年3月末の3,136店からは317店、率にして10.1%の純増である。そして、上半期の出店数は150店以上に達したとのことである。

 2023年3月末の3,453店の地域別内訳は、マニラ首都圏1,064店、首都圏以外のルソン地域1,542店、セブを中心とするビサヤ地域499店、ダバオを中心とするミンダナオ地域348店。全体では自営店が1,796店(52%)、フランチャイズ店が1,657店(48%)となっている。

 地域別のセブン-イレブン店舗数推移(単位:百万ペソ)
場所 2022年末  2023年1Q純増数 2023年1Q末
マニラ首都圏 1,063 1 1,064
ルソン地方(首都圏除く) 1,505 37 1,542
ビサヤ地方 489 10 499
ミンダナオ地方 336 12 348
合計 3,393 60 3,453
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)


 フィリピンセブン-イレブン店舗数(年末値)とSEVNの純利益推移(単位:百万ペソ、2023年は第1四半期)

時期 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年  21年  22年 23年1Q 
店舗数 1,282 1,602 1,995 2,285 2,550 2,864 2,978  3,073  3,393  3,453
純利益 873 1,008 1,176 1,318 1,532 1,445 -420  -461 2,057 528 
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末値、資本的に日系はローソンのみ、ミニストップはブランド名変更)
年・月 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年  22年 23年1Q 
セブン-イレブン 1,602 1,995 2,285 2,550 2,864 2,978 3,073  3,393 3,453 
ミニストップ(アンクルジョン) 519 499 496 499 506 472 456 N.A. N.A.
ファミリーマート 120 99 66 69 76 N.A. N.A.  N.A.  N.A.
ローソン 16 29 31 38 60 64 68  100 102 
 (出所:各社の店舗情報などから作成)