GMS、比の金融包摂型事業が世界に拡大

経済産業省プログラム「J-startup Impact」に選定

2023/10/13

 世界の低与信層に向けた金融包摂型FinTechサービスをグローバルに展開する日本発のスタートアップGlobal Mobility Service株式会社(GMS、本社:東京都千代田区)は10月12日、経済産業省のプログラム「J-startup Impact」に選定されたと発表した。

 GMSは、フィリピンにて、顧客起点で課題解決につながる事業開発を実施。生活に困難を抱える人でも自動車をリースで入手できる仕組みを提供するGMSのサービスは、世界的に課題となっている貧困に対し、信用構築、経済的な自立など大きな生活改善効果をもたらしうるとして、500社の中からインパクトスタートアップとしてのロールモデル性が評価された。

 インパクトスタートアップとは、社会的・環境的課題の解決や新たなビジョンの実現と、持続的な経済成長をともに目指す企業であり、岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の考え方を体現する存在として注目されはじめている。経済産業省はこれまで、イノベーションの担い手であるスタートアップへの支援を目的に、官民一体となって集中的に支援を行う「J-Startup」プログラムを運営してきたが、本年度よりインパクトスタートアップに対する認知向上や支援の気運醸成に向けて、潜在力の高いインパクトスタートアップへの集中支援を行う「J-Startup Impact」を設立した。今回、ロールモデルとなることが期待される30社が選定された。

 GMSは独自開発の車載IoT端末「MCCS」とデータ分析プラットフォームを組み合わせ、世界の貧困層・低所得層に就業機会と金融サービスへのアクセスを提供する金融包摂型FinTechサービスを展開している。2013年フィリピンより事業を開始したグローバルスタートアップとして実績を積み重ね、2019年に開催されたG20において「持続可能かつ包括的な成長に貢献する国際ビジネス事例」として採択されるなど国際的な評価を得ている。これまでにオートローンの申込金額では1,000億円、約300万円のファイナンス実績を創出した。

 フィリピンにおいては、「トライシクル」と呼ばれる三輪タクシーのドライバーとして就業することを希望する人々が、車両を入手することができるサービスなどを展開している。IoTデバイスMCCSを車両に搭載することで、料金の支払いがない車両のエンジン起動を制御して支払いを促すと共に、未払い車両の確実な回収を実現することができる。それによりローンやリースにおける車両の担保、与信審査基準の緩和・審査の省略を実現し、従来はローンやリースを利用することができない人々が、車両を手に入れることができる機会を創造している。既に、マニラ首都圏のマカティ市、パサイ市、ケソン市、パラニャーケ市、セブ島マンダウエ市などと提携しこの事業を展開している。このような事業が日本やASEAN(カンボジア、インドネシア)などに拡大、その対象車両の総累計走行距離が7月時点で6億kmを突破したのである。