小売主要10社の9カ月決算、堅調も増益率で明暗
最大手SMリテールやセブン-イレブンは過去最高収益
2023/11/24
フィリピン証券取引所(PSE)上場の小売企業の2023年9カ月間の業報告書提出が出揃った。非上場ではあるが最大手の総合小売企業であるSMリテールの業績概要も、親会社のSMインベツトメンツ(証券コード:SM)の事業報告書で明らかとなった。
新型コロナ対策としての外出・移動規制のほぼ撤廃や経済再開本格化を背景に総じて続伸基調となった。主要上場企業9社とSMリテール計10社のうち7社が増益となった。ロビンソンズ リテール(証券コード:RRHI)も一時的損益を除いた実質ベースでは4%増益であった。
最大手のSMリテールの収入は前年同期比(以下同様)12%増の2,906億ペソ、純利益は19%増の137億ペソと二桁の増収増益になった。9カ月間ベースで2年連続の最高収益を記録、新型コロナパンデミック直前の2019年9カ月間の収入2,539億ペソ、純利益78億ペソを大きく上回っている。
百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高いルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)は66%増益となった。新型コロナパンデミックで最も影響を受けた小売企業であるが、今9カ月間では高級品需要回復の恩恵を受けた。
一方、食料品や必需品の比率が高く、パンデミック発生後も営業制限の影響がほとんどなく好調を維持してきたピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は引き続き増収増益であったが、規制緩和で競争が厳しくなったこと、比較対象の前年同期までが好調であったことの反動で増収率・増益率ともに一桁台と他社よりは緩やかな伸びであった。最大の増益率を示したのはオールデーマーツ(証券コード:ALLDY)で154%増だった。
コンビニエンスストアは、如何なる時でも営業継続を要請される業態ではある。しかし、コロナ禍では移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、断続的な店内での飲食禁止措置発動などが響き厳しい決算が続いた。
しかし、今9カ月間は外出・移動規制のほぼ撤廃などを背景に業績の再上昇ピッチが高まった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)は収入が27%増の566億ペソ、既存店13%増収、純利益は72%増の23億ペソと大幅増収増益。9カ月間ベースで収益ともに2年連続で過去最高となり、既に、2022年に記録した年間最高益20億5,700万ペソを上回っている。
上場小売企業とSMリテールの2023年年初9カ月の業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:2023年第3四半期事業報告書などより作成、店舗数には簡易店舗や臨時店舗は含まず)
注:オーツデーマーツ、SMリテールの店舗数は23年6月末時点のもの
セブン-イレブン フィリピン既存店の増収率の推移
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)
セブン-イレブン フィリピン店舗数(年末値)とSEVNの純利益推移(単位:百万ペソ、2023年は9月末)
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)
新型コロナ対策としての外出・移動規制のほぼ撤廃や経済再開本格化を背景に総じて続伸基調となった。主要上場企業9社とSMリテール計10社のうち7社が増益となった。ロビンソンズ リテール(証券コード:RRHI)も一時的損益を除いた実質ベースでは4%増益であった。
最大手のSMリテールの収入は前年同期比(以下同様)12%増の2,906億ペソ、純利益は19%増の137億ペソと二桁の増収増益になった。9カ月間ベースで2年連続の最高収益を記録、新型コロナパンデミック直前の2019年9カ月間の収入2,539億ペソ、純利益78億ペソを大きく上回っている。
百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高いルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)は66%増益となった。新型コロナパンデミックで最も影響を受けた小売企業であるが、今9カ月間では高級品需要回復の恩恵を受けた。
一方、食料品や必需品の比率が高く、パンデミック発生後も営業制限の影響がほとんどなく好調を維持してきたピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)は引き続き増収増益であったが、規制緩和で競争が厳しくなったこと、比較対象の前年同期までが好調であったことの反動で増収率・増益率ともに一桁台と他社よりは緩やかな伸びであった。最大の増益率を示したのはオールデーマーツ(証券コード:ALLDY)で154%増だった。
コンビニエンスストアは、如何なる時でも営業継続を要請される業態ではある。しかし、コロナ禍では移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、断続的な店内での飲食禁止措置発動などが響き厳しい決算が続いた。
しかし、今9カ月間は外出・移動規制のほぼ撤廃などを背景に業績の再上昇ピッチが高まった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)は収入が27%増の566億ペソ、既存店13%増収、純利益は72%増の23億ペソと大幅増収増益。9カ月間ベースで収益ともに2年連続で過去最高となり、既に、2022年に記録した年間最高益20億5,700万ペソを上回っている。
上場小売企業とSMリテールの2023年年初9カ月の業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 店舗数 | 収入 | 増減率 | 純利益 | 増減率 | 純利益率 |
ピュアゴールド プライスクラブ | 558 | 141,608 | 9% | 6,612 | 2% | 5% |
ロビンソンズ リテール | 2,368 | 139,038 | 9% | 3,000 | -38% | 2% |
フィリピン・セブン | 3,624 | 56,586 | 27% | 2,267 | 72% | 4% |
メトロ リテールストアーズ G | 62 | 26,769 | 0.2% | 255 | -36% | 1% |
ウイルコン デポ | 87 | 26,347 | 5% | 2,726 | -8% | 10% |
SSIグループ | 526 | 18,973 | 21% | 1,527 | 66% | 8% |
オールホーム | 65 | 8,780 | -4% | 582 | 46% | 7% |
オールデーマーツ | 36 | 7,434 | 5% | 254 | 154% | 3% |
メリーマート・コンシューマー | 119 | 5,795 | 27% | 51 | 19% | 1% |
SMリテール(SMICが上場) | 3,677 | 290,600 | 12% | 13,700 | 19% | 5% |
注:オーツデーマーツ、SMリテールの店舗数は23年6月末時点のもの
セブン-イレブン フィリピン既存店の増収率の推移
年/四半期 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | 年間 |
2023 | +23.3% | +11.1% | +13.0% | - | - |
2022 | +16.1% | +39.2% | +35.2% | +26.6% | +28.8% |
2021 | -20.1% | -5.1% | +3.4% | +8.5% | -4.6% |
2020 | +2.5% | -25.5% | -25.2% | -23.7% | -18.4% |
2019 | +6.8% | +13.0% | +10.1% | +10.1% | +10.3% |
セブン-イレブン フィリピン店舗数(年末値)とSEVNの純利益推移(単位:百万ペソ、2023年は9月末)
時期 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 | 22年 | 23年 |
店舗数 | 1,282 | 1,602 | 1,995 | 2,285 | 2,550 | 2,864 | 2,978 | 3,073 | 3,393 | 3,624 |
純利益 | 873 | 1,008 | 1,176 | 1,318 | 1,532 | 1,445 | -420 | -461 | 2,057 | 2,267 |