2023年のGDP統計、1月31日に発表予定

政府目標6~7%は未達成との見方が支配的

2024/01/12

 フィリピン統計庁(PSA)によると、1月31日(木)に、2023年第4四半期(10月~12月)及び2023年年間の国内総生産(GDP)など国民勘定統計が発表される予定である。

 2023年9カ月間のGDP平均実質成長率(2018年基準)は5.5%で、前年同期の7.7%から大幅に減速している。したがって、2023年の政府GDP成長率目標(6.0~7.0%)達成は難しい状況である。年間目標の下限である6.0%成長のためには、第4四半期のGDP成長率7.4%以上が必要となる。国際的格付機関や援助機関、民間エコノミスト等の間では、既に年間目標の下限6%達成には至らなかったという見方が支配的になっている。

 2023年第4四半期は、これまでの金融引き締め継続による景気抑制効果、比較対象となる2022年第4四半期の成長率が7.1%、2021年4四半期の成長率が7.9%と高い伸びが続いてきている反動という要素もあって、7.4%以上の成長はかなり難しいと見られてきている。2023年成長率に関しては、世界銀行が5.6%、国際通貨基金(IMF)が5.3%、アジア開発銀行(ADB)が5.7%と軒並み6%以下であったと推定している。そのなかで、フィリピン政府関係者の一部が6%に達したと楽観的な見方を表明している。

 フィリピンのGDP実質成長率の推移と目標(2018年基準、単位:%)
15 16 17 18 19 20 21 22  23目標 24目標 25~28目標 
伸び率 6.3 7.1 6.9 6.3 6.1 -9.5 5.7 7.6 6.0~7.0  6.5~7.5 6.5~8.0 
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、目標は2023年12月15日のDBCC設定数値)

  ADBによる東南アジア等の実質GDP成長率予想(単位:%、2023年12月時点の予想)
国・地域 2022年実績 2023年予 2024年予 
アジア開発途上国 4.3 4.9 4.8
  東南アジア 5.6 4.3 4.7
    フィリピン 7.6 5.7 6.2 
    インドネシア 5.3 5.0 5.0 
    マレーシア 8.7 4.2 4.6
    シンガポール 3.6 1.0 2.5
    タイ 2.6 2.5 3.3
    ベトナム 8.0 5.2 6.0
(出所:アジア開発銀行資料より作成)