23年の金属鉱物生産額、4.8%増の2,491億ペソ

ニッケル類のシェア45.5%で首位、金は42.8%で第2位

2024/03/14

 フィリピン鉱山地勢局(MGB)は3月12日、2023年通年の金属鉱物生産額が2,490億5,000万ペソとなり、前年の2,376億6,000万ペソから4.8%増加したと発表した。これは主に金とニッケル鉱石が堅調であったことによる。

 金の生産額は、2022年の910億5,000万ペソから2023年には1,066億4,000万ペソへと17%増加した。また、ニッケル鉱石は前年の616億6,000万ペソから658億4,000万ペソへと7%増加した。

 価格に関しては、金の平均価格はトロイオンス(TOZ)当たり1,942.80米ドルと、前年の1,802.28米ドルから7.8%上昇し、銀は23.47米ドル/TOZと前年の21.76米ドルから7.9%上昇した。一方、2023年のニッケル鉱と銅の平均価格は、ニッケルが1ポンド当たり9.93米ドル(前年11.86米ドル)、銅は3.85米ドル(同4.00米ドル)と、それぞれ下落した。

 総生産額に対するシェアは、ニッケル鉱石とニッケル副産物、ニッケル・コバルト混合硫化物(NCMS)、スカンジウム・オキサレートの合計生産額が1,133億7,000万ペソとなり、全体の45.52%を占めた。2位は金(生産額1,066億4,000万ペソ、シェア42.82%)、3位は銅(生産額254億1,000万ペソ、シェア10.20%)。銀+クロム鉄鉱+鉄鉱石の合計生産額は26億4,000万ペソで、シェアは1.46%だった。

 フィリピンの総土地面積3,000万ヘクタールのうち、2024年1月現在、鉱業権で覆われているのは約2.50%の75万1,432.75ヘクタールに過ぎない。MGBのデータによると、900万ヘクタールが高い鉱物資源の可能性を有すると確認されているが、そのうち鉱業権でカバーされているのは約8.35%に過ぎない。この試算には、採石許可や工業・商業用の砂・砂利採取許可など、地方自治体(LGU)が発行した許可は含まれていない。フィリピンは、ニッケル、金、銅、その他の貴重な鉱物を豊富に有する、最も鉱物資源に恵まれた国の一つである。

 MGBは、「鉱物セクターの業績は常に価格によって左右され、価格動向は当然今年から来年にかけての世界の需給パターンに左右される。供給は、地政学的紛争、天候、燃料価格などがもたらす混乱による減産や不足の影響を受ける。新規参入や既存プロジェクトの拡大も大きな要因となる。一方、需要は、建設・製造部門における世界経済の好・不調によって左右される」として、今後も価格動向を注視していく。

 フィリピンの金属鉱物生産の比較(生産額:百万ペソ)
品目 単位 2022年 2023年 伸び率(%)
生産量 生産額 生産量 生産額
kg 29,036 91,048 31,046 106,638 7 17
kg 56,227 2,134 46,160 1,858 -18 -13
銅精鉱 DMT 258,729 25,673 266,532 25,408 3 -1
ニッケル・コバルト混合硫化物 DMT 80,991 55,529 77,904 47,238 -4 -15
スカンジウム・オキサレート Dry-kg 20,148 451 18,302 292 -9 -35
ニッケル直接船積鉱石 DMT 29,423,836 61,660 35,144,306 65,845 19 7
クロム鉄鉱 DMT 87,182 936 101,960 1,514 17 62
鉄鉱石 DMT 75,771 232 78,213 258 3 11
合計 - - 237,664 - 249,050 - 4.8
(出所:フィリピン鉱山地勢局資料より、DMT:ドライメトリックトン)