JICA、比インフラの災害リスクに対する財政的強靭化を支援

GSISの能力向上により公的資産への包括的な保険付保へ

2024/05/25

 国際協力機構(JICA)は、フィリピン政府との技術協力プロジェクト「公的保険改善を通じた自然災害に対する公共資産の強靭性向上プロジェクト」を実施する。実施予定期間は2027年5月までの36カ月、対象地域はマニラ首都圏、現地での事業実施機関は公務員年金機構(GSIS)である。

 このプロジェクトは、合同調整委員会(JCC)の設立と日本の専門家の派遣を通じて開始、5月24日、マニラ首都圏パサイ市で正式始動会議を開催した。このプロジェクトは再災害リスクの高いフィリピンにおいて、GSISの自然災害に対する保険の付保対象である公共資産への包括的かつ十分な保険付保を図るため、妥当な再調達価額評価や公平な保険料算出、保険引受・集積管理、被保険機関への意識啓蒙及び保険加入促進に係る体制・能力強化を行う。JCCは、主にGSIS、財務省(DOF)、財務局(BTr)、およびJICA専門チームの役員およびスタッフから構成される。

 フィリピンは、東南アジアで最も自然災害の発生頻度が高い国の一つであり、1990年以降に発生した自然災害で計約230億米ドルの損失を被っているが、自然災害に起因したリスクに対する公共インフラの強靭化に必要な予算確保のための制度や体制が十分に構築されておらず、災害発生時の復旧資金の確保が課題となっていた。

 このような状況を踏まえ、フィリピンにおける公共資産に対する公共保険の引受機関であるGSISの保険引受・集積管理等に関わる体制・能力強化を通じて、公的資産への包括的かつ十分な保険付保を図り、自然災害に対する財政的強靭性の向上に寄与するものである。SDGsゴール11(包摂的、安全、強靭で持続可能な都市と人間住居の構築)及びゴール13(気候変動とその影響への緊急の対処)に貢献する。