第1四半期の経常収支赤字、60.6%減の17億ドル

金融収支流入減で総合収支黒字は93%減の2億ドル

2024/06/16

  フィリピン中央銀行(BSP)は6月14日、国際通貨基金(IMF)の国際収支マニュアル第6版(BPM6)に準拠した、2024年第1四半期(1月~3月)の国際総合収支(BOP)統計の詳細速報を発表した。

<貿易赤字縮小で経常収支改善>
 2024年第1四半期の経常収支の赤字額は17億5,000万米ドル(対GDP比率1.6%に相当)となり、前年同期の赤字44億4,000万米ドル(対GDP比率4.3%に相当)から60.6%縮小した。これは、物品貿易赤字が14.7%減の146億6,000万米ドルに減少し、第一次所得収支の黒字が101.9%増加したことによる。経常収支赤字は大幅縮小したが、金融収支の純流入が減少したことにより、国際総合収支(BOP)は2億4,000万米ドルの黒字にとどまり、前年同期の34億5,000万米ドルの黒字を93.1%下回った。

<総外貨準備高(GIR)>
 2024年3月末現在の外貨準備高(GIR)は1,041億米ドルで、前年同月末の1,015億米ドルを2.6%上回った。前期末(2023年12月末)の1,038億米ドルからは0.3%の増加となった。輸入・一次所得の7.7カ月分、元本ベース短期対外負債の6.1倍、残存ベース短期対外負債の3.8倍に相当する水準である。

<為替相場>
 為替は2024年第1四半期の加重平均が1米ドル=55.96ペソで、前期(23年第4四半期)の加重平均1米ドル=56.06ペソから0.2%のペソ高、前年同期の1米ドル=54.86ペソから2.0%のペソ安になった。


 
国際総合収支の詳細内訳(単位:百万米ドル、増減率表示はBSP方式による)
項目 第1四半期
23年 24年 増減率(%)
経常収支 -4,439 -1,749 60.6
   対GNI比(%) -4.0 -1.4 -
   対GDP比(%) -4.3 -1.6 -
 貿易・サービス・第一次所得収支 -11,817 -9,356 20.8
  貿易・サービス収支 -12,494 -10,724 14.2
     対GNI比(%) -11.3 -8.7 -
     対GDP比(%) -12.2 -9.8 -
    物品貿易収支 -17,193 -14,662 14.7
      対GNI比(%) -15.5 -12.0 -
      対GDP比(%) -16.8 -13.4 -
     輸出 12,729 14,041 10.3
     輸入 29,922 28,703 -4.1
   サービス収支 4,698 3,938 -16.2
      輸出 11,307 12,727 12.6
      輸入 6,609 8,790 33.0
   第一次所得収支 678 1,368 101.9
 第二次所得収支 7,378 7,607 3.1
資本移転等収支 15 16 11.5
 
金融収支(マイナス勘定) -5,926 -4,911 17.1
 直接投資 -805 -2,257 -180.3
 証券投資 434 -58 -113.3
 金融派生商品 20 -61 -403.6
 その他投資 -5,575 -2,535 54.5
 
誤差脱漏 1,951 -2,941 -250.7
 
国際総合収支 3,453 238 -93.1
  対GNI比(%) 3.1 0.2 -
  対GNI比(%) 3.4 0.2 -
 
参考:OFW等の個人送金額合計 8,905 9,151 2.8
 うち銀行経由分 8,002 8,219 2.7
(出所:BSP資料より作成、注:全て速報値)
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。