24年のペソ対ドルレート4.3%下落、一時過去最安値に並ぶ

米国金融政策や国内政局懸念、トランプ要因、経常収支悪化等で

2024/12/31

 フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、2024年12月の最終営業日27日のペソ対米ドルレート終値は1米ドル=57.845ペソで、前月末から0.775ペソ反発、率にして1.34%のペソ高となった。

 12月は、前月の急落の反動、クリスマス休暇に向けての海外フィリピン人(OF)からの故郷送金増加という季節要因などで反発した。終値ベースで最もペソ高だったのは6日の1米ドル=57.735ペソ。一方、最もペソ安だったのは19日の1米ドル=59.000ペソで、過去最安値(59.000ペソ)タイに並んだ。
 
 2024年通年では4.28%のペソ安となった。通年の終値ベースで最もペソ高となったのは3月12日に記録した1米ドル=55.310ペソ。最もペソ安だったのは、11月21日、11月26日、12月19日に記録した約2年ぶりの過去最安値タイ(59ペソ)だった。

 2024年も米国の金融政策や見通しに大きく左右される展開となった。第4四半期は米国の利下げペース鈍化観測、南シナ海での中国との対立激化、国内での現・前大統領の対立激化に伴う政治的混乱懸念、輸出不振に伴う貿易収支、経常収支の悪化、更には米国大統領選でのドナルド・トランプ氏当選に伴うドル高の流れ波及、特にトランプ政策のフィリピンへの悪影響が大きいとの観測などで、ペソが下落した。

 ペソは2025年も不安定な動きが予想される。米国のトランプ政権発足でその政策がインフレや金利に与える影響、フィリピン経済への影響が注目される。引き続き、南シナ海領海問題、世界各地での紛争、国内では中間選挙に向けて政局の混迷が懸念され、ペソは60ペソ台という最安値に下落する場面があるとの見方が多い。
 
 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 55.755ペソ -8.53%
2023年 55.370ペソ 0.70%
 2024年  57.845ペソ  -4.28%
2024年 1月末 56.275ペソ -1.61%
2月末 56.200ペソ 0.13%
3月末 56.240ペソ -0.07%
4月末 57.760ペソ -2.63%
5月末 58.510ペソ -1.28%
6月末 58.610ペソ -0.17%
7月末 58.365ペソ 0.42%
8月末 56.111ペソ 4.02%
9月末 56.030ペソ 0.14%
10月末 58.100ペソ -3.56%
11月末 58.620ペソ -0.89%
12月末 57.845ペソ 1.34%
12カ月間 - -4.28%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)