速報:2024年GDP成長率、5.6%(第4四半期5.2%)

政府目標不達、個人消費減速や農林水産部門の不振響く

2025/01/30

 フィリピン統計庁(PSA)は、1月30日(木)午前10時、2024年第4四半期(10月~12月)および年間(1月~12月)の国内総生産(GDP)など国民勘定統計を発表した。アルセニオ・バリサカン国家経済開発庁(NEDA)長官及びPSAのクレア・デニス・マパ次官(国家統計官兼民事登記官)が解説した。

 それによると、2024年第4四半期(10-12月)のフィリピン国内総生産(GDP)実質(以下同様)成長率は5.2%で前期の5.2%と同水準、前年同期の5.5%からは減速した。そして、エコノミストによる事前推定コンセンサス5.8%を大幅に下回った。

 セクター別成長率は、農林水産業がマイナス1.8%、鉱工業が4.4%、サービス産業が6.7%。サービス産業の堅調さ、悪天候などによる農林水産業の不振が目立つ。支出別では、最大項目の家庭最終消費(個人消費)の伸び率が高インフレなどで4.7%へ減速(前年同期5.3%)したことが目立つ。

 <2024年の年間動向>
 これらの結果、2024年年間の実質GDP成長率は5.6%となり、前年の5.5%を僅かに上回った。しかし、エコノミストによる事前推定コンセンサス5.7%を下回るとともに、政府の改定成長率目標6.0%~6.5%の下限を下回る結果となった。すなわち、政府目標は不達であった。
 
 年間のセクター別成長率は、鉱工業が5.6%、サービス産業が6.7%と堅調であった。しかし、農林水産業は悪天候などによりマイナス1.6%と不振であった。支出面では、家計最終消費支出(HFCE)が4.8%増加(前年5.6%増)、政府最終消費支出(GFCE)が7.2%増加、総資本形成(GCF)は7.5%増加した。輸出は3.4%増加、GDPのマイナス勘定となる輸入は4.3%増加した。


フィリピンのGDP実質成長率の推移と目標(2018年基準、単位:%)
16 17 18 19 20 21 22 23 24 25~28目標
伸び率 7.1 6.9 6.3 6.1 -9.5 5.7 7.6 5.5 5.6 6.0~8.0
(出所:DBCC資料より作成、目標は2024年12月7日のDBCC設定数値)