PSEの25年IPO目標(6件)、市場環境不調で達成難しく
4カ月間で小型案件1社のみ、Gキャッシュなど延期懸念
2025/04/27
フィリピン証券取引所(PSE)の上場企業数は低水準であるうえ、このところのPSEの新規公開(IPO)促進努力にもかかわらず伸び悩みが続いている。
PSEにおける新規上場社数は、2014年7社、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社のみ、2019年と2020年も4社のみであった。2021年は8社、そして、2022年は10社(うち1社はIPOを経ないイントロダクション方式での上場)へと増加したが、2023年は3社にとどまった。2024年についても3社でPSEの目標6社を下回った。
2025年についても年初4か月間でのIPO・新規上場は僅か1社。セブを拠点とする石油製品販売企業であるトップライン ビジネスデベロップメント(トップライン)が3月24日~31日にIPOを実施、4月8日にPSEに新規上場したのみである。すなわち、2025年第1号の新規上場は第2四半期にようやく実現した。
PSEは2025年のIPO・新規上場案件に関しては6社目標と表明している。PSEは、SMプライム ホールディングス(SMプライム、証券コード:SMPH)によって創設される不動産投資信託(REIT)のSM REIT、モバイルマネーGキャッシュの運営企業グローブ フィンテック イノベーションズ(Mynt社)、丸紅が20%出資しているマイニラッド ウォーター サービス(マイニラッド)、カジノリゾート「オカダ・マニラ」運営企業など有力企業のIPOを期待している。しかし、大半の企業は上場時期などを慎重に検討としており、現在の市場環境などから判断すると、これらの有力企業が揃って2025年内に新規上場する可能性は薄く、PSEの目標達成は困難との見方が増えている。大型案件はマイニラッド1社のみにとどまるとの見方もある。
AP証券のリサーチヘッドのアルフレッド・ベンジャミン・ガルシア氏は、「進行中の貿易戦争は景気減速のリスクを高め、投資家のリスク許容度を低下させている。市場環境が軟調な中では、資金調達の緊急性がないのであれば、市況改善を待つ方が得策だ」とコメントした。また、当初から6件のIPO目標は「現実的ではなかった」とし、現時点では最大4件のIPOが見込まれ、うち大型案件はマイニラッドだけになるとの見方を示した。最大案件と見られるGキャッシュ運営のMynt社もIPOの延期を示唆している。
その一方、シンガポールのケッペルの現地法人である持株会社ケッペル フィリピン ホールディングス(証券コード:KPH)が、2025年2月20日開催の臨時取締役会において、PSEからの自主的上場廃止申請書の提出を承認した。そして、自主的上場廃止に向けた少数株主向け公開買い付け(TOB)を始動させつつある。
このような上場廃止の動きも続きそうであり、PSEの上場企業数の伸び悩みが続きそうである。2025年3月末時点のPSE上場企業数は283社で、2024年末の283社から変わらず。283社の業種別内訳は金融30社、工業73社、持株会社34社、不動産47社、サービス64社、鉱業・石油(資源開発)23社、中小企業(SME)ボード企業11社、上場投信(ETF)1社。
フィリピン証券取引所(PSE)上場企業数などの推移
(出所:PSE資料などより作成、2025年はPSEの目標数)
PSEにおける新規上場社数は、2014年7社、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社のみ、2019年と2020年も4社のみであった。2021年は8社、そして、2022年は10社(うち1社はIPOを経ないイントロダクション方式での上場)へと増加したが、2023年は3社にとどまった。2024年についても3社でPSEの目標6社を下回った。
2025年についても年初4か月間でのIPO・新規上場は僅か1社。セブを拠点とする石油製品販売企業であるトップライン ビジネスデベロップメント(トップライン)が3月24日~31日にIPOを実施、4月8日にPSEに新規上場したのみである。すなわち、2025年第1号の新規上場は第2四半期にようやく実現した。
PSEは2025年のIPO・新規上場案件に関しては6社目標と表明している。PSEは、SMプライム ホールディングス(SMプライム、証券コード:SMPH)によって創設される不動産投資信託(REIT)のSM REIT、モバイルマネーGキャッシュの運営企業グローブ フィンテック イノベーションズ(Mynt社)、丸紅が20%出資しているマイニラッド ウォーター サービス(マイニラッド)、カジノリゾート「オカダ・マニラ」運営企業など有力企業のIPOを期待している。しかし、大半の企業は上場時期などを慎重に検討としており、現在の市場環境などから判断すると、これらの有力企業が揃って2025年内に新規上場する可能性は薄く、PSEの目標達成は困難との見方が増えている。大型案件はマイニラッド1社のみにとどまるとの見方もある。
AP証券のリサーチヘッドのアルフレッド・ベンジャミン・ガルシア氏は、「進行中の貿易戦争は景気減速のリスクを高め、投資家のリスク許容度を低下させている。市場環境が軟調な中では、資金調達の緊急性がないのであれば、市況改善を待つ方が得策だ」とコメントした。また、当初から6件のIPO目標は「現実的ではなかった」とし、現時点では最大4件のIPOが見込まれ、うち大型案件はマイニラッドだけになるとの見方を示した。最大案件と見られるGキャッシュ運営のMynt社もIPOの延期を示唆している。
その一方、シンガポールのケッペルの現地法人である持株会社ケッペル フィリピン ホールディングス(証券コード:KPH)が、2025年2月20日開催の臨時取締役会において、PSEからの自主的上場廃止申請書の提出を承認した。そして、自主的上場廃止に向けた少数株主向け公開買い付け(TOB)を始動させつつある。
このような上場廃止の動きも続きそうであり、PSEの上場企業数の伸び悩みが続きそうである。2025年3月末時点のPSE上場企業数は283社で、2024年末の283社から変わらず。283社の業種別内訳は金融30社、工業73社、持株会社34社、不動産47社、サービス64社、鉱業・石油(資源開発)23社、中小企業(SME)ボード企業11社、上場投信(ETF)1社。
フィリピン証券取引所(PSE)上場企業数などの推移
年 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025目標 |
新規上場企業数 | 4 | 4 | 8 | 10 | 3 | 3 | 6 |
上場廃止企業数 | 2 | 1 | 3 | 0 | 6 | 3 | N.A. |
年末上場企業数 | 268 | 271 | 276 | 286 | 283 | 283 | N.A. |