日本格付研究所、フィリピン格付「A-」を継続

格付投資情報センターとともに日本勢が高評価

2025/06/07

 日本格付研究所(JCR)は、65日、フィリピンの格付を据え置くと発表した。具体的には、外貨建長期発行体格付、ペソ建て長期発行体格付、債券格付ともに、「Aマイナス(A-)」が据え置かれた。すなわちA範疇が継続されたのである。格付見通し(アウトルック)も「安定的」が継続された。格付見通しが安定的というのは、A-という格付が当分維持されるであろうという意味である。なお、JCRは日本を代表する格付会社であり、米国や欧州(EU)、英国での正式登録と認定を得ている格付会社である。

 JCRはフィリピンに関して、堅調な内需に支えられた持続的な高い経済成長、低水準に抑制された対外債務、外貨準備の蓄積等の対外ショックに対する耐性などを評価している。一方、農村開発などを通じた所得格差是正およびインフラ整備が引き続き重要課題であるとしている。今後マルコス政権の取組を通じた経済成長と財政の改善によって信用力が向上していくとみており、今後の動向に注目している。これらにより、Aマイナスという格付を据え置き、見通しを安定的としたとのことである。

 JCRは、フィリピンの2025GDP実質成長率については、外部環境に不確実性があるものの堅調な内需により5%台後半と予想している(2024年実績は5.7%)。フィリピン初の政府ファンドが20251月に国内の送電事業を運営するナショナル グリッド コーポレーション オブ ザ フィリピン(NGCP)20%の株式を取得することで投資を開始しており、今後インフラ開発を支えると見ている。

 なお有力格付機関の中で、フィリピンに最も高い格付を与えてきているのはJCRといえよう。格付投資情報センター(R&I)も、2024812日に、フィリピン格付をそれまでの「トリプルBプラス(BBB+)」から「Aマイナス(A-)」へと引き上げA範疇とした。格付け見通しは「安定的」とした。日本の格付機関のフィリピンに対する評価は高いといえよう。

 世界三大格付機関のなかでフィリピンに対する評価が高いのは、米系のスタンダード&プアーズ(S&P)S&P20241126日、フィリピン格付を「トリプルBプラス(BBB+)」に据え置くが、格付見通しをそれまでの「ステーブル(安定的)」から「ポジティブ(強気)」へと引き上げた。A範疇への引き上げが視野に入ってきたといえる。

 S&Pと同じ米国系のムーディーズ インベスターズ サービス(ムーディーズ)のフィリピン格付は、201412月から「Baa2」が継続されている。「Baa2」は他の格付機関の「トリプルBBBB)」と同格である。欧州系のフィッチ・レーティングス(フィッチ)のフィリピン格付「トリプルBBBB)」とともに、S&Pの「BBB+」より1ランク低い格付となっている。