小売業界、上半期は低調、主要10社で18%減益

SMリテール収益ともに断トツ、セブンは増益率鈍化

2025/08/22

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の小売企業の2025年上半期の業報告書提出が出揃った。非上場ではあるが最大手の総合小売企業であるSMリテールの業績概要も、親会社のSMインベツトメンツ(証券コード:SM)の事業報告書で明らかとなった。

 主要小売10社のうち6社が増収となったが、増益は5社にとどまり、全体として前年同期比18%の減益だった。減益幅が最も大きかったロビンソンズ リテール(証券コード:RRHI)は、前年にアヤラ系拡大商業銀行大手バンク オブ フィリピン アイランズ(BPI)とロビンソンズ銀行の合併完了に伴い一時的な利益を計上していたことによる反動であり、一時的損益を除いたコア純利益は4.3%増の28億ペソ、すなわち実質4.3%の増益だった。

 最大手のSMリテールの収入は前年同期比8%増の2,118億ペソ、純利益は10%増の84億ペソと堅調だった。ピュアゴールドプライスクラブ(証券コード:PGOLF)、最大のコンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)、セブを本拠地とするガイサノ・グループ傘下のメトロリテール ストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は増収増益となったが、メトロリテール以外の増益率は縮小、伸び悩みという結果となった。

 ホームセンターのウィルコン デポ(ウィルコン、証券コード:WLCON)は主に4月、5月の長期休暇期間中の売上高の減少に伴い減収となり、加えてリース関連支払利息を含む営業費用の増加が利益を圧迫した。ルスタンズ(Rustan's)で知られる高級小売最大手SSIグループ(証券コード:SSI)は二桁の減益、オールデーマーツ(証券コード:ALLDY)、オールホーム(証券コード:HOME)は二桁の減収減益となった。

 上場小売企業とSMリテールの2025年上半期の業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 店舗数 収入 増減率 純利益 増減率 純利益率
ピュアゴールド プライスクラブ 764 111,737 12% 5,299 7% 4.7%
ロビンソンズ リテール 2,471 99,158 5% 2,560 -64% 2.6%
フィリピン・セブン 4,268 47,072 7% 1,777 1% 3.8%
メトロ リテールストアーズ G 76 18,990 4% 146 46% 0.8%
ウイルコン デポ 103 17,303 -1% 1,163 -23% 6.7%
SSIグループ 601 13,493 2% 452 -38% 3.3%
オールホーム 72 3,996 -29% 114 -60% 2.9%
オールデーマーツ 40 2,876 -42% 31 -83% 1.1%
メリーマート・コンシューマー 136 3,546 -7% 17 4% 0.5%
SMリテール(SMICが上場) 4,469 211,800 8% 8,400 10% 4.0%
合計 - 529,971 6% 19,959 -18% -
(出所:2025年四半期事業報告書などより作成)
注:オールデーマーツ店舗数:24年12月31日時点、メリーマート店舗数:25年1月31日時点)