4カ月間で株価が6.7%上昇、4月は2.8%の調整

2015/05/02

不動産株10.6%高、持株会社9.6%高で牽引役に
ペソ対ドルで0.45%上昇、良好な基礎的要因を反映

 2009年から14年まで6年連続で上昇しこの間の株価が約3.8倍へと急騰したフィリピン株式市場が、2015年に入っても上昇基調を続けてきている。4月も上旬はフィリピン証券取引所指数(PSEi)が非常に強い動きとなり、史上最高値更新を繰り返した。ただ、4月後半は米国の景気や金融政策に関する不透明感などを背景に調整局面入りし、月間では反落という結果となった。

 


 PSEiは、4月6日に終値ベースで初の8,000ポイント台乗せを果たし、10日には8,127.48ポイントという終値ベースでの史上最高値を更新した。4月の終値ベースでの史上最高値更新は4回、年初からの累計では27回に達した。また、4月7日には場中の瞬間値ベースでの史上最高値8,136.97ポイントを記録した。しかし、13日以降は反落に転じ、、30日には1時7,700ポイント台割れ、終値も7,714.82ポイントへと下落、月間では2.84%の下落となった

フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末値と月末価、2015年は4月末まで)

フィリピン証券取引所株価指数 ペソ対米ドルレート
時期 年末・月末値 上昇率 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38% 56.280ペソ -1.39%
2005年 2,096.04ポイント 14.99% 53.090ペソ 6.01%
2006年 2,982.54ポイント 42.29% 49.030ペソ 8.28%
2007年 3,621.60ポイント 21.43% 41.280ペソ 18.77%
2008年 1,872.85ポイント -48.29% 47.520ペソ -13.13%
2009年 3,052.68ポイント 63.00% 46.200ペソ 2.86%
2010年 4,201.14ポイント 37.62% 43.840ペソ 5.38%
2011年 4,371.96ポイント 4.07% 43.840ペソ 0.00%
2012年 5,812.73ポイント 32.95% 41.050ペソ 6.80%
2013年 5,889.83ポイント 1.33% 44.395ペソ -7.53%
2014年 7,230.57ポイント 22.76% 44.720ペソ -0.73%
2015年1月  7,689.91ポイント  6.35%  44.080ペソ  1.45%
2月 7,730.57ポイント 0.53% 44.090ペソ -0.02%
3月 7,940.49ポイント 2.72% 44.700ペソ -1.36%
4月 7,714.82ポイント -2.84% 44.520ペソ 0.40%
         
4カ月間 - 6.70% - 0.45%

(出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)

  PSEiの第1四半期上昇率は9.82%に達しており、4月が下落月となったものの、4カ月間の累計上昇率は6.70%に達している。4カ月間の大分類セクター別指数の上昇率トップは不動産の10.62%。以下、持株会社の9.61%上昇、金融の4.99%上昇、工業の2.54%上昇と続く。一方、サービスは0.98%下落、鉱業・石油は5.21%下落とマイナス圏となっている。

 4カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比45.6%増の109億8,000万ペソ。そして2014年年間平均の88億ペソを大幅に上回るだけでなく非常に高水準であった2013年の約105億ペソを凌ぐ勢いである。外人の売買額シェアは48%で、前年同期の54%、前年通年の49%から低下している。外人は約395億ペソの買い越しとなり、4カ月間で14年の年間買い越し額約557億ペソの約71%に達している。

 4月末の時価総額は前年末比3.7%増の14兆7,822億ペソ、そのうち、国内企業時価総額が同5.6%増の12兆3,718億ペソ、外国企業時価総額が同5.1%減の2兆4,104億ペソであった。


フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目 12年の上昇率 13年の上昇率 14年の上昇率 15年4月末終値 4カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数 32.95% 1.33% 22.76% 7,714.82 6.70%
全株指数 21.48% -2.29% 17.99% 4,453.00 4.42%
  金融株指数 57.49% -6.42% 18.78% 1,780.86 4.99%
  工業株指数 25.48% 2.11% 37.89% 12,286.62 2.54%
  持株会社株指数 47.01% 5.41% 16.03% 6,905.40 9.61%
  不動産株指数 55.59% -4.30% 27.42% 3,108.83 10.62%
  サービス株指数 6.70% 8.20% 13.94% 2,105.38 -0.98%
  鉱業・石油株指数 -17.43% -38.59% 32.70% 14,990.81 -5.21%

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)

フィリピン証券取引所の指数、規模、売買額等の推移(年末・年間値、15年は4月末値もしくは4カ月間累計価)

項目 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年4月
フィリピン証券取引所指数 3,052.68 4,201.14 4,371.96 5,812.73 5,889.83 7,230.57 7,714.82
年末時価総額(億ペソ) 60,291 88,611 86,970 109,301 119,313 142,517 147,822
  国内企業時価総額 39,919 68,922 72,390 94,163 96,452 117,128 123,718
  外国企業時価総額 20,372 19,689 14,580 15,138 22,861 25,389 24,104
1日平均売買額(億ペソ) 41.1 49.5 57.1 72.6 105.2 88.0 109.8
外人の売買額シェア 32.4% 38.1% 37.8% 45.0% 51.0% 49.0% 48.0%
外人買越額(億ペソ) 149.2 356.2 565.2 1,099.80 155.9 557.2 394.8
PER(株価収益率) 23.26倍 21.32倍 16.57倍 17.97倍 17.79倍 20.13倍 N.A.

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)

 一 方、PDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2015年4月末終値が1米ドル=44.520ぺソとなり、4月月間で 0.40%のペソ高となった。また、4カ月間では0.45%のペソ高であり、世界的なドル高の流れの中で、フィリピンの堅調な経済成長、経常収支黒字継続、財政収支大幅改善などというファンダメンタルズの良好さを反映する展開となっている (PSEやPDSの取引記録などより)。