国際競争力:フィリピン世界42位(60カ国中)
2014/05/21
昨年から4ランク低下、大規模汚職疑惑など響く
1位米国、3位シンガポール、日本21位、中国23位
スイス・ローザンヌのIMD(経営開発国際研究所)が5月21日に、「世界競争力年報2014年版」を発表した。
IMDの世界競争力は、世界各国・地域を、「経済パフォーマンス」、「行政の効率性」、「ビジネスの効率性」、「インフラ整備度」という4分野での調査を行い、ランキングしたものである。今年の調査象国・地域は、2013年と同様60であった。なお、IMDは50年以上の歴史を有する世界有数のビジネススクールである。
このIMDによる2013年国際競争力1位は米国(昨年1位)、2位がスイス(同2位)、3位がシンガポール(同5位)、4位が香港(同3位)、5位がスウェーデン(同4位)であった。一方、最下位の60位はベネズエラ(同60位)、59位はクロアチア((同58位)、58位はアルゼンチン(同59位)であった。
円安などにより海外市場での競争力が改善した日本は21位で、昨年の24位、一昨年の27位から上昇した。しかし、かつて首位にランクされていた面影が全く失せるとともに、調査対象の中位に定着しかかっている感がある。アジア勢では、シンガポール、香港という上位常連国2カ国のほか、12位のマレーシア(同15位)、13位の台湾(同11位)が日本を上回った。そして、23位の中国本土(同21位)、26位の韓国(同22位)、29位のタイ(同27位)と続く。
このほか、アジア勢は、37位インドネシア(同39位)、42位フィリピン(同38位)、44位インド(同40位)となっている。インドはインフレ昂進等に伴う成長率鈍化などで急低下が続いており、昨年に続きアジア最下位となった。インドのほか、ブラジル54位(同51位)など一時脚光を浴びた新興国の競争力の低下が目立つ。
フィリピンは、昨年の38位から4ランク低下、インドネシアに抜き返されてしまった。フィリピンの分野別順位は「経済パフォーマンス」37位(同31位)、「行政の効率性」40位(同31位)、「ビジネスの効率性」27位(同19位)、「インフラ整備度」59位(同57位)であり、全分野で低下した。
フィリピンは近年の経済活況などにより、昨年の総合順位は5ランク急上昇したが、今年は逆戻りという結果となった。上院議員3名を含む優先開発補助金(PDAF、通称:ポークバレル)不正疑惑発生、超大型台風30号(フィリピン名:ヨランダ)被害などによる成長率鈍化懸念、インフラ不足問題未解決などが響いた。なお、フィリピンは、このIMD国際競争力調査が本格化した1997年には29位(調査対象46カ国・地域)で、 30位の韓国、31位のタイなどを上回っていた(14年5月21日のIMDプレスリリースなどより)。