フィリピン通信業界、大規模再編成実現
2011/10/27
首位PLDTが第3位のディジテルを買収
消費者団体や競合企業の反対を乗り越え
フィリピン最大の通信企業フィリピン長距離電話(PLDT)は、ゴコンウェイ・ファミリーの持ち株会社JGサミット傘下の通信企業ディジタル・コミュニケーション(ディジテル)を買収した。ディジテルは第3位の通信企業であり、携帯電話事業(ブランド名はサンセルラー)において、低価格を武器に急速にシェアを伸ばしてきている。紆余曲折を経て、10月26日に業界第1位と第3位の合併が実現した。
今年3月のPLDTとJGサミットの合意によると、PLDTはJGサミットからディジテル株約32億8千万株(発行済み株式の51.55%)、ディジテルがJGサミットグループ向けに発行したゼロクーポン転換社債(186億株への転換権)などを合計692億ペソで取得する。PLDTは、取得代金をPLDT新株式で支払う。PLDT株式は1株当たり2500ペソとして計算され、支払い後のJGサミットのPLDT保有比率は約12.9%となる。
このような通信業界1位企業と3位企業の合併は、競争を著しく制限し、利用料金の値上げにつながるとの懸念が消費者団体や競合企業などの間で高まり、そして、議会での討議対象になった。当初、PLDTは、ディジテル買収を6月末までに完了させる意向であった。各方面での強い反対などにより、PLDTは一時は合併断念と表明するまでに至ったが、通信委員会が合併承認のための条件を提示、PLDTがその条件を了承したたため、ようやく上記の合意に沿った合併実現の運びとなった。
通信委員会の提示した条件は、サンセルラーがアンリミティッドの大規模割引き制度を長く継続させることやPLDTグループに割り当てられた合計25メガヘルツ(Mhz)の3G周波数のうちの10Mhz返上などであった。
PLDTはディジテル株式51.55%を取得したことにともない、、ディジテル少数株主に対して株式公開買い付け(TOB)も実施する。ディジテル株式TOB価格は1株1.60ペソ。TOBに応じた少数株主には、PLDT株式(1株当たり2500ペソと計算)もしくは現金での支払いが行われる。
なお、2010年末の携帯電話加入者数はPLDTグループ(スマートが展開)4560万人、グローブ・テレコムが2642万人、ディジテル(サンセルラー)が1400万人。この時点でPLDTグループとディジテルの合計加入者数は6千万人、合計シェアは70%近くに達していた(11年10月26日のフィリピン証券取引所回覧7629-2011号などより)。