Stock110307

2011/03/06

stock110307
stock110307
2011年3月7日の目次
stock110307
stock110307本日のトピックス
stock110307stock110307 <2月の総合インフレ率、4.3%へ急上昇(前月3.6%)>
昨年5月以来の高水準、コアインフレ率は3.5%に
中央銀行による利上げ観測拡がる


stock110307stock110307 <2月の総合インフレ率4.3%への寄与度>
食料1.99%、光熱0.69%、サービス0.78%

stock110307金融証券市場情報
stock110307stock110307 <為替相場:3月4日の終値1ドル=43.280ペソへと続伸>
stock110307stock110307<株式市場:3月4日は続伸し48.66ポイント高>
stock110307経済統計・その他統計など
stock110307stock110307<日本艦艇、フィリピン人船員1万1,832人ら護衛>
海賊対処法施行19カ月間、総勢3万6,207人護る

stock110307政治・外交などの関連ニュース
stock110307stock110307<大統領、インドネシアとシンガポールを公式訪問>
stock110307stock110307<大統領、全国緑化計画スタート>
stock110307stock110307<下院議員、出入国管理局職員の増員要求>
stock110307一般経済・税制関連、国際機関などのニュース
stock110307stock110307<ジェトロ、フィリピンの環境意識と政策報告書発表>
stock110307stock110307<南南協力でのフィリピンの活躍目立つ>
JICA農業資材品質管理能力向上計画
など
カンボジアの農薬・肥料行政改善等に寄与

stock110307stock110307<フィリピン海外移住者からの送金、世界第4位に
stock110307stock110307<省庁間エネルギー有事委員会を設置>
stock110307産業界、外資などのニュー
stock110307stock110307<昨年のフィリピン現地生産車販売18%増加>
主要5社合計で6万7951台との報道

stock110307企業ニュース、証券取引所(PSE)公表情報など
stock110307stock110307<サンミゲル、テレビ局買収も視野に>
政府保有PRN9、IBC13株式取得意向

stock110307stock110307<サンミゲル、2千億ペソ規模の売出し遂行方針>
stock110307stock110307<サンミゲル・ピュアフーズ、業績続伸見込み>
ペトロンからガソリンスタンド併設コンビニ取得
stock110307stock110307<アルファランド、55億ペソの増資へ>
stock110307公的機関等からの情報、広報(アジア、世界関連)など
stock110307stock110307<世界食糧価格8カ月連続上昇、史上最高更新>
stock110307
stock110307
本日のトピックス
stock110307

<2月の総合インフレ率、4.3%へ急上昇(前月3.6%)>
昨年5月以来の高水準、コアインフレ率は3.5%に
中央銀行による利上げ観測拡がる

stock110307
(11年3月4日のフィリピン国家統計局資料より)
フィリピン国家統計局(NSO)は3月4日、2011年2月の消費者物価動向(インフレ率概要など)を発表した。

2011年消費者物価上昇率(インフレ率:2000年基準の前年同月比 単位:%)
1月 2月 2011年1-2月
全国
総合インフレ率 3.6 4.3 3.9
コアインフレ率 3.3 3.5 3.4
首都圏
総合インフレ率 3.9 4.6 4.2
地方
総合インフレ率 3.4 4.2 3.7
(出所:国家統計局より作成)


2011年2月の総合消費者物価上昇率(対前年同月比:2000年基準)は4.3%(速報値)で、前月の3.6%(改定値)から0.7%ポイント上昇、前年同月(4.2%)から0.1%ポイント上昇した。そして、昨年5月の4.3%以来の高水準となった。また、コアインフレ率(2000年基準、特定食品及びエネルギー関連品目を除く)は3.5%で前月の3.3%から0.2%ポイント上昇した。

物価指数最大構成項目である飲食料・タバコ(構成比率50.03%)のインフレ率は4.2%で前月の3.0%から1.2%ポイント上昇。サービス費は4.9%で前月の3.8%から1.1%ポイント、住宅費は2.1%で前月の1.9%から0.2%ポイント上昇した。衣類は1.9%で前月から横這い。一方、光熱費は9.9%で前月の11.9%(改定値)から1.0%ポイント、雑費は1.0%で前月の1.1%から0.1%ポイントそれぞれ鈍化した。

「食料のみ」のインフレ率は4.3%で前月の3.1%から1.2%ポイント上昇した。主食の米は1.3%で前月の1.5%から0.2%ポイント鈍化したが、コーンは2.7%で前月の-0.1%から2.8%ポイント上昇した。インフレ率の上昇幅がもっとも目立ったのが青果類で前月(3.1%)から9.1%ポイント上昇し12.2%。魚介類は5.1%(前月3.1%)、穀物調整品は3.8%(3.1%)、卵は2.3%(2.2%)、肉類は0.4%(0.2%)、乳製品は1.6%(1.5%)とそれぞれ前月から上昇した。一方その他食品は6.9%(7.4%)と鈍化した。

地域別インフレ率は、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)が4.6%で前月の3.9%から0.7%ポイント上昇。また、首都圏以外の地方(地域別構成比69.994%)のインフレ率は4.2%で前月の3.4%から0.8%上昇した。

フィリピン総合インフレ率の過去6年間の年平均は2005年7.6%、2006年6.2%、2007年2.8%、2008年9.3%、2009年3.2%、2010年3.8%と推移している。

総合消費者物価前年同期比上昇率(2000年基準:単位%)
年間 10年 11年
構成比 09年 10年 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
総合 100.0 3.2 3.8 4.2 4.4 4.4 4.3 3.9 3.9 4.0 3.5 2.8 3.0 3.0 3.6 4.3
飲食料煙草 50.0 5.8 3.0 3.8 3.1 3.1 3.1 3.1 3.2 3.5 3.2 2.0 1.9 2.0 3.0 4.2
住居費 16.8 2.9 1.7 1.8 1.7 1.7 1.7 1.6 1.7 1.5 1.6 1.8 1.9 1.9 1.9 2.1
サービス 15.9 -0.3 4.5 5.4 6.6 5.8 5.8 3.9 4.0 3.4 3.2 3.7 3.8 3.5 3.8 4.9
光熱費 7.0 -2.6 13.3 11.0 14.6 18.0 16.8 16.4 14.4 15.3 11.9 8.3 12.0 11.5 11.9 9.9
衣料 3.0 2.5 1.9 2.0 2.1 2.0 2.1 1.9 1.9 2.0 1.9 1.9 1.7 1.9 1.9 1.9
雑費 7.3 2.6 1.4 1.7 1.5 1.4 1.5 1.3 1.2 1.4 1.3 1.2 1.2 1.1 1.1 1.0
地域別
首都圏 30.0 1.6 4.0 4.0 5.0 5.3 4.6 4.1 4.1 4.5 3.5 2.2 3.6 3.4 3.9 4.6
地方 70.0 3.9 3.7 4.2 4.1 4.1 4.3 3.9 3.8 3.8 3.5 2.9 2.8 2.8 3.4 4.2
(注:改定値有り)

食料品物価前年同期比上昇率(2000年基準:単位%)
食料 コーン 青果 肉類 魚介類 乳製品 穀物調整 その他
10年   2月 3.8 2.0 -1.0 3.6 2.5 5.6 4.2 2.3 3.5 5.4
3月 3.1 0.7 -4.4 1.4 2.0 4.9 4.1 1.9 3.2 5.6
4月 3.1 0.6 -5.3 2.1 2.4 4.5 3.9 1.8 3.2 5.8
5月 3.2 0.3 -5.9 2.3 2.4 5.3 3.3 1.6 3.2 5.9
6月 3.2 0.0 -2.9 2.9 2.3 5.4 3.3 1.5 3.4 6.1
7月 3.3 0.3 -0.6 2.9 2.3 4.4 2.8 1.5 3.3 6.7
8月 3.6 0.7 -0.1 3.4 2.9 4.8 2.3 1.6 3.2 7.5
9月 3.3 1.5 1.2 0.6 3.4 3.8 2.0 1.6 3.1 7.3
10月 2.0 1.4 0.5 -7.5 3.1 2.4 2.0 1.6 2.9 7.1
11月 2.0 0.8 -0.8 -5.7 2.7 1.6 2.3 1.4 2.8 7.2
12月 2.0 0.8 -1.3 -4.2 2.6 0.0 2.6 1.4 3.2 7.5
11年   1月 3.1 1.5 -0.1 3.1 2.2 0.2 3.1 1.5 3.1 7.4
2月 4.3 1.3 2.7 12.2 2.3 0.4 5.1 1.6 3.8 6.9
(出所:国家統計局より作成)

インフレ目標と実績、中央銀行予想(いずれも2000年基準)
  2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年
公式インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%
インフレ率実績と直近予想 9.3%(実績) 3.2%(実績) 3.8%(実績) 4.4%(予想) 3.5%(12年の予想)
(出所:中央銀行資料より作成)
stock110307

<2月の総合インフレ率4.3%への寄与度>
食料1.99%、光熱0.69%、サービス0.78%

stock110307
(11年3月4日のフィリピン中央銀行発表より)
上記のように、2011年2月のインフレ率は4.3%で政府の目標圏内(3.0-5.0%)、中央銀行(BSP)の2月予想圏内にとどまったが、昨年5月以来の高水準となった。一方、コアインフレ率は3.5%で前月の3.3%から0.2%ポイント上昇した。2月のインフレ率が上昇した主な要因は、ミンダナオ地方をはじめ国内の農業地帯における継続的な豪雨で収穫量が減り青果類の価格が上昇したこと、低温気候による漁獲量減少で魚類の価格が上昇したことなど。また、輸入原油の価格上昇から生じた石油製品の国内価格上昇がサービス費のインフレ率上昇に拍車をかけた。

中央銀行(BSP)スニィガOICは、「食料、石油など商品価格の世界的な上昇とその他価格の二次的な上昇がインフレ期待にリスクをもたらす。今後のインフレ動向は商品価格の圧力の持続性に左右されるだろう。しかしながら、中央銀行は、今後もインフレ見通しに影響を与えるリスクを注視していく方針」とコメント。

なお、中央銀行によると、2011年2月の総合インフレ率4.25%への寄与度は、飲食料・煙草費2.09%ポイント、そのうち食料のみでは1.99%ポイント(うちコメが0.12%ポイント)だった。その他の寄与度は光熱費0.69%ポイント(そのうち燃料が0.22%ポイント)、サービス費0.78%ポイント、住居費0.35%ポイント、衣料費0.06%ポイントだった。


インフレ率(前年同月比、前年比)と寄与度(単位:%)
項目 物価指数
構成比
2月 2011年1-2月
インフレ率 寄与度 平均インフレ率 寄与度
総合 100.00 4.25 4.25 3.90 3.90
飲食料・煙草 50.03 4.17 2.09 3.63 1.82
食料 46.58 4.26 1.99 3.66 1.71
うちコメ 9.36 1.27 0.12 1.39 0.13
衣料費 3.00 1.85 0.06 1.85 0.06
住居費 16.80 2.07 0.35 1.93 0.32
光熱費 6.95 9.87 0.69 10.85 0.75
うち燃料 2.35 9.32 0.22 9.56 0.23
サービス費 15.89 4.90 0.78 4.31 0.68
その他 7.33 0.99 0.07 1.00 0.07
(出所:中央銀行資料より作成)
stock110307
stock110307
金融証券市場情報
stock110307
<為替相場:3月4日の終値1ドル=43.280ペソへと続伸>
stock110307
(11年3月4日のPDS取引記録などより)
2011年3月4日のPDS(フィリピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドル加重平均レートは43.300ペソで前日の43.374ペソから0.074ペソ続伸。終値は43.280ペソで前日の43.365ペソから0.085ペソ続伸(始値43.300ペソ、高値43.255ペソ、安値43.345ペソ)。出来高は前日比8%減の9億9,406万ドル。

ペソ対米ドルレートの動き(単位:ペソ)
  当日 前営業日
  11年3月4日 11年3月3日
始値 43.300 43.430
高値 43.255 43.345
安値 43.345 43.430
終値 43.280 43.365
加重平均 43.300 43.374
出来高(百万ドル) $994.06 $1,077.50
(出所:PDS取引記録より)
stock110307
<株式市場:3月4日は続伸し48.66ポイント高>
stock110307
(11年3月4日のフィリピン証券取引所資料などより)
2011年3月4日の株式市場は続伸し、PSE株価指数は48.66ポイント高の3,882.71ポイントで引けた。率にすると1.27%の続伸。全体の売買代金は前日比4%増の44億8,900万ペソ(約84億6,000万円)、総取引回数は9%増の14,175回だった。値上がり銘柄数は79で値下がり銘柄数47を上回った。変わらず銘柄数は44。外人は1億2,490万ペソの買い越しだった。


<2011年3月4日の株式市場概要>
指数 始 値 高 値 安 値 終値 前日比
PSE株価指数 3,849.12 3,905.02 3,849.12 3,882.71 +48.66

出来高(百万株)  2,195 +8% 値上がり銘柄 79 外人買付額(百万ペソ) 1,902.5
売買代金(百万ペソ) 4,489 +4% 値下がり銘柄 47 外人売却額(百万ペソ) 1,777.6
総取引回数 14,175 +9% 変わらず銘柄 44 外人買越額(百万ペソ) +124.9
stock110307
stock110307
経済統計・その他統計など
stock110307
<日本艦艇、フィリピン人船員1万1,832人ら護衛>
海賊対処法施行19カ月間、総勢3万6,207人護る

stock110307
(11年3月4日の日本国土交通省発表より)
2009年7月24日に、日本で「海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律(海賊対処法)」が施行され、09年7月28日から海賊対処法に基づく海賊対処行動による護衛活動がアデン湾において開始されている。海賊対処法により、船舶の国籍を問わず護衛を行うことが可能となったことから、国土交通省海事局が外国の船舶を含めて一元的に申請を受け付け、日本関係船舶等を確実に護衛対象船舶に選定するとともに、国際貢献の観点から日本に関連のない外国の船舶を護衛対象に選定する役割を果たしている。

日本国土交通省は3月4日に、09年7月28日から11年2月28日までの約19カ月間の海賊対処法)に基づく護衛活動実績を発表した。

その発表によると、同期間の海賊対処法に基づく日本による護衛対象護衛対象船舶数は合計1,555隻(1回平均8.5隻)であった。内訳は、1.日本関係船舶(日本の運航事業者が運航する船舶)377隻、うち ?日本籍船10隻、?日本の船舶運航事業者が運航する外国籍船367隻、2. その他外国籍船(外国の運航事業者が運航する船舶)1,178隻であった。

それらの船舶の乗務員総数は3万6,207人。国籍別乗務員の内訳上位は、フィリピン人1万1,832人、インド人6,440人、中国人3,819人、ウクライナ人2,409人、トルコ人1,876人、ロシア人1,793人、韓国人1,541人、ミャンマー人1,148人、バングラデシュ人592人、インドネシア人570人、タイ人529人、日本人375人など。
海賊対処法施行後約19カ月間で、日本は3万6,207人の船員(うちフィリピン人1万1,832人)の安全を護ったことになる
stock110307
stock110307
政治・外交などの関連ニュース
stock110307
<大統領、インドネシアとシンガポールを公式訪問>
stock110307
(11年3月4日のフィリピン官報より)
アキノ大統領は3月7~11日の5日間にかけて、インドネシアとシンガポールを公式訪問する。シンガポール入りは9日になる予定。二国関係及び地域の繋がりの強化を図る。インドネシアではユドヨノ大統領と会談し漁業分野での協力、海上境界線の設定などについて協議する。また、両国の人材交流を深める3つの協定(基礎教育、スポーツ協力、越境犯罪の予防と能力構築における協力)の調印式に立ち会う。

一方、シンガポールでは、ナザン大統領、リー・シェンロン首相と会談し、政府の官民提携(PPP)イニシアティブ、フィリピン・シンガポール行動計画、ASEAN問題等について協議する。
stock110307
<大統領、全国緑化計画スタート>
stock110307
(11年3月4日のフィリピン官報より)
アキノ大統領は大統領令(EO)第26号により政府優先事業として全国緑化計画(NGP)実施を打ち出した。対象は、農業省、農地改革省、環境天然資源省3省の合同イニシアティブで特定された森林地、マングローブ及び保護地、民間・軍保留地、先祖伝来の土地、地方自治体の緑化計画下にある市街地、廃鉱山、その他適した土地など。大統領の任期が終了する2016年までに最大150万ヘクタールに植林する。

確実に成功させるため様々な戦略が使われる。その中には、全学生及び公務員に各自年間最低10本の苗木を植えるよう要求しているものもある。また、計画の一部は、高地開発計画や全国森林計画及び官民部門の植林活動といった様々な緑化イニシアティブとの統合を模索している。
stock110307
<下院議員、出入国管理局職員の増員要求>
stock110307
(11年3月6日のフィリピン下院発表より)
カガス下院議員(南ダバオ州第1区)は、観光客、入国者、不法入国者の急増に対し、出入国管理局(BI)職員の増員を求める下院議案第2154号を提出した。同議員は、「BI職員は現在1,200人で、外国人の入国を規制・管理するには不十分の人数であるうえ、BIは主要都市の重要な検問所に人員を配置しなければならない」と説明。同議案では、職員増員計画は法令化後の10年間をカバーし、出入国管理官職の補強人数は最終的に500人以下となる。
stock110307
stock110307
一般経済、税制関連、国際機関などのニュース
stock110307
<ジェトロ、フィリピンの環境意識と政策報告書発表>
stock110307
(11年3月2日のジェトロ調査レポートなどより)
地球温暖化問題への関心を受け、各国では環境関連政策の整備が進み、政府の啓発活動に伴い市民の環境に対する意識が高まりつつある。 こうした世界的なトレンドを受け、日本貿易振興機構(ジェトロ)では、フィリピン含む主要30カ国・地域を選び、市民の環境への意識および環境関連政策について、概要を取りまとめることとした。環境関連政策としては、(1)電力・エネルギー、(2)廃棄物処理、(3)交通、(4)住宅・建築をとりあげた。また、ビジネスの参考として、環境関連の経済指標および当該国・地域の気候関連情報についても盛り込むこととした。フィリピン版の概要は以下の通り。

・環境に対する市民意識
都市部の自治体は家庭から出る廃棄物収集を行っているが、収集率は固形廃棄物全体の40%以下とされ、河川や海への市民による廃棄物投機が日常的に行われている。マニラ首都圏での水害は、投機ゴミの堆積による河川の氾濫が一因とも指摘されている。現地メディアのインタビューによると、ケソンシティーの洪水調節作業員らは、毎日のようにダンプカー600~750台分の廃棄物を、入り江、池、小川、湿地帯などあらゆる水路から収集しているとされる。 世界的な夕陽の名所とされてきたマニラ湾も汚臭のため、観光地としての精彩は無い。さらに多くの村では、家庭廃棄物の野焼きによる処理がおこなわれている。家庭からの雑排水の7%のみが適切に処理されているにすぎず、地下水の汚染も深刻である。
人口の32.9%が貧困者とされ、環境への関心を払うどころか、生きることに精一杯な市民が多い。環境保護より生活を優先しなければならない状況は、違法伐採による毎年10万ヘクタールもの森林の喪失や、ダイナマイト漁による70%もの珊瑚礁の破壊という形で環境に 深刻な影響をもたらしている。
環境天然資源省 (DENR)は、 フィリピン緑化計画など、環境における市民意識を高めるための取り組みを継続的に行っている。多くのNGOも持続的な農業、持続的な漁業、市民の環境意識向上に向けた取り組みを行っている。また日系企業などによる周辺住民に対するワークショップを通じた取り組みもみられる。
中流階級では、07年の石油価格高騰を機に、省エネ意識が高まっている。しかしながら、09年からフィリピン市場向けに輸出されているトヨタのプリウスは、主として価格面の課題から販売台数が伸び悩んでいるとされる。

・環境関連政策
フィリピンは1987年制定の憲法で、国民の権利としての正常な環境の保護・向上、開発による環境への影響考慮の義務などをうたっている。90年代に入ると、森林資源保護を目的とした規制や、大気浄化法、水質浄化法、生態物固形管理物管理法などの環境関連法を整えた。マニラ首都圏では1999年から分別回収が導入されている。
07年の金融危機を受けて政府は、道路や橋の新設・改修、農業分野の梃入れや住宅供給促進といった環境に関連する景気刺激策にも取り組んでいる。
政府は気候や水質の観測網など環境対策のためのインフラ整備に尽力している。エネルギー分野では、発電用原油の多くを輸入に依存していることと原油価格の高騰基調を背景に、国産エネルギー比率の向上に取り組んでいる。
太陽光発電は、電力網が届いていない地域でのオフグリッド需要として5,000を越える小規模施設が設置されている。大規模施設は、件数は多くないがルソン島やミンダナオ島などで建設されている。また大型の風力発電施設も建設されている。太陽光、風力発電とも、日本の商社、電力会社などが事業に参入している。フィリピンの地熱発電開発は、1972年の大統領令(PD1442) 10により税や会計上の優遇措置がとられ、地熱発電の設備容量は米国に次ぐ2位となっている。

詳細はジェトロのウエブサイト(http://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/reports/07000527)にて閲覧できる。
stock110307
<南南協力でのフィリピンの活躍目立つ>
JICA農業資材品質管理能力向上計画
など
カンボジアの農薬・肥料行政改善等に寄与

stock110307
(JICAの技術協力プロジェクトなどより)
南南協力とは、開発途上国の中で、ある分野において開発の進んだ国が、別の途上国の開発を支援することである。かつて戦後間もない日本が実践した国際協力である。日本は、自国の経験から、南南協力支援を有効な協力手段として、最も積極的に取り組んでいる援助国の一つである。新ODA大綱においても、日本は「アジアなどにおけるより開発の進んだ途上国と連携して、南南協力を積極的に推進する」と明示している。 JICAは、このような政府の方針を受け、JICA第2期中期計画(2007年~2012年度)において、「開発途上国支援における南南協力の意義と有効性に留意し、南南協力支援事業の効果的な実施を図る」という方針を定め、南南協力支援に積極的に取り組んでいる。 

具体例の一つとして、カンボジアでの「農業資材(化学肥料及び農薬)品質管理能力向上計画」(QCAMプロジェクト、2009年03月01日から2012年03月31日)がある。カンボジアでは、化学肥料や農薬のほとんどがベトナムやタイなどの近隣諸国から不法に流入しており、外国語表記のラベルのまま販売されているため、農民の多くは、適切な使用方法を十分理解することなく、それらを購入・使用せざるを得ない。適切な品質管理が行われることなく大量に流通している化学肥料や農薬による被害を防ぐためにカンボジア府は「農業資材(化学肥料および農薬)品質管理能力向上計画」の実施を日本政府に要請したという経緯がある。

このQCAMプロジェクトの特徴の一つとして、計画段階から現在に至るまで、フィリピンの農業省(DA)と緊密に連携しながら、プロジェクトを実施している点が挙げられる。
JICAは、フィリピンにおいて、1997年から5年間にわたって技術協力プロジェクト「農薬モニタリング体制改善計画」を実施し、DAの肥料農薬庁(FPA)における農薬行政の改善や植物産業局(BPI)による農薬分析能力向上のための技術支援に取り組んだ。この取り組みを通じて育成されたフィリピン人のカウンターパート(CP)スタッフの技術力を有効に活用しながら、カンボジアの農林水産省スタッフの技術向上を図る目的で、2009年3月にQCAMプロジェクトが開始された。

プロジェクトが開始してからこれまで、延べ7名のフィリピン人専門家がQCAMプロジェクトに派遣され、化学肥料や農薬分析技術、化学肥料および農薬行政の専門家として活躍してきた。また、QCAMプロジェクトは、これまで3回にわたりカンボジア農林水産省スタッフをフィリピンに派遣して技術研修を実施してきたが、研修実施機関であるFPAの多くのスタッフも同様に「農薬モニタリング体制改善計画」によって育成された人たちである。 .このように、QCAMプロジェクトにおいては、JICA事業にCPスタッフとして関わった人材を専門家として有効に活用して、三角協力を推進している。三角協力とは開発途上国がもっている優れた実践経験と能力を基に、先進国の資金的・技術的支援を得て、開発課題に取り組む、南南協力の一形態である。

JICA事業全体から見れば、三角協力事業の割合は決してないが、政府開発援助の効率的実施の観点からも、三角協力の重要性は今後益々高まっていくものと思われる。JICAは、QCAMプロジェクトを通じて、日本、フィリピン、およびカンボジアの人々との共同作業の意義と価値を体験している一員として、これら三カ国の協力および友好関係が今後益々発展していくとともに、世界の他の地域においても同様な三角協力事業が実現していくことを期待している。
stock110307

<フィリピン海外移住者からの送金、世界第4位に

stock110307
3月7日付け各紙電子版によると、、世界銀行は、2010年の海外移住者からの送金受領額は世界全体で4400億米ドル達したと推定されると発表した。このうち開発途上国の受領額は前年比6%増の3,250億ドルだった。

国別送金受領額トップはインドの550億米ドル。そして、2位中国の510億米ドル、3位メキシコの226億米ドル、4位フィリピンの213億米ドルと続く。フィリピンは2009年の173億米ドルから23%増加、対GDP比12%に達する推定されている
以下、5位フランスの159億米ドル、6位ドイツの116億米ドル、7位バングラデシュの111億米ドル、8位ベルギーの104億米ドル、9位スペインの102億米ドル、10位ナイジェリアの100億米ドルと続く。
stock110307
<省庁間エネルギー有事委員会を設置>
stock110307
(11年3月4日のフィリピン官報より)
アキノ大統領は、主要な石油供給国であるリビア及び中東諸国における現在の政情不安のフィリピンへの影響を懸念し、石油や他のエネルギー源の安定供給を確実にするための早期対応として広範な省庁間エネルギー有事委員会(IECC)を設置した。IECCのメンバーは、エネルギー省、財務省、予算管理省、運輸通信省、外務省、国家経済開発庁(NEDA)、国家安全保障会議。その任務は、各省庁の利用可能なリソースの包括的な監査、既存計画の補強の実行可能性の批准、計画案の運用の必要性評価、大統領室へ勧告書を提出など。
stock110307
stock110307
産業界、外資などのニュース
stock110307
<昨年のフィリピン現地生産車販売18%増加>
主要5社合計で6万7951台との報道
stock110307
既報の通り、2010年の四輪車新車総販売台数は前年同月比27.2%増の16万8,490台となった。そして、1996年に記録した年間過去最高記録である約16万2千台を14年ぶりに更新した。2009年秋の記録的豪雨にともなう水没被害車買い替え需要や海外フィリピン人就労者(OFW)からの送金増加、新車販売効果などにより好調であった。

3月6日付け各紙f電子版によると、フィリピン自動車競争力評議会(PACCI)は、加盟5社の2010年フィリピン現地生産車の販売台数は前年比18%増の6万7951台であったとのこと。5社とはトヨタ自動車、三菱自動車、本田技研工業、いすゞ自動車、フォードのフィリピン現地子会社。この5社で、現地生産台数の90%を占める。

2010年の現地生産販売台数は二桁増加となったものの、総販売台数の伸びである27.2%をかなり下回った。PACCIによると、現地の自動車生産設備の稼働率は60%にとどまっており、さらなる競争力向上努力による販売台数増加が急務とのことでもある。
stock110307
stock110307
企業ニュース、証券取引所(PSE)公表情報など
stock110307
<サンミゲル、テレビ局買収も視野に>
政府保有PRN9、IBC13株式取得意向
stock110307
サンミゲルは、新分野での事業基盤拡充を推進している。既に、電力、道路、鉱業分野などでの成果を上げている。3月7日付け各紙電子版によると、サンミゲルは、テレビ局買収、資本参加も視野に入れている。同社のラモン・アン社長は、政府のRPN9、IBC13保有株売却のための入札に応札する意向を表明したとのこと。
stock110307
<サンミゲル、2千億ペソ規模の売出し遂行方針>
stock110307
(11年3月4日のフィリピン証券取引所回覧1736-2011などより)
新規事業基盤構築を急ピッチで進めるサンミゲルは、事業形態だけでなく株主構成が大きく変化しつつある。元貿易産業相のロベルト・オンピン氏傘下のトップ・フロンティア・ホールディングス(トップ・フロンティア)との株式持ち合いにより、トップ・フロンティアのサンミゲル支配権比率は実質86.05%に達してしまった。この結果、サンミゲルの浮動株比率が極端に低下、PSE株価指数の構成銘柄としての基準を満たせなくなっている。

既報のとおり、サンミゲルとトップフロンティア連合は、サンミゲルの浮動株比率引き上げと資金調達を目的に、サンミゲル発行済み普通株式数の約30%に相当する10億株の売り出しを実施すると発表した。

昨年11月にサンミゲルは、その売り出し価格は1株150ペソ~200ペソを想定していることを明らかにした。そして、今年1月には想定売り出し価格を1株150ペソ~250ペソへと変更した。その後、リビア情勢混迷化やそれにともなう原油価格急騰などを背景に投資環境が悪化、この巨額のサンミゲル株式売出しの実現性に懐疑的な見方が拡がり始めている。

サンミゲルは、最大2500億ペソの株式売り出しに関して、あくまで遂行する方針を表明した。早ければ、2011年第2四半期中にも実施される見込み。売り出し価格は、市場環境を考慮して決定されるとのことである。
stock110307
<サンミゲル・ピュアフーズ、業績続伸見込み>
ペトロンからガソリンスタンド併設コンビニ取得
stock110307
(11年3月4日のフィリピン証券取引所回覧1739-2011などより)
サンミゲルの食品子会社サンミゲルの業績上昇が続きそうである。2011年の売上高は前年比12%増の900億ペソ以上へ拡大する見込みであり、利益も増加すると予想される。国内外での買収を予定しているほか、グループ企業のペトロンから、ガソリンスタンド併設のコンビニエンス・ストア「トリーツ」を取得する予定であり、業容拡大が続く。
stock110307
<アルファランド、55億ペソの増資へ>
stock110307
(11年3月4日のフィリピン証券取引所回覧1729-2011号より)
有力不動産企業であるアルファランドは、3月3日開催の執行委員会において、約5億5526万株の私募増資実施を決議した。この増資が完了すると発行株式数は約39%増加する。1株当たり割当価格は10ペソであり、調達額は約55億5620万ペソとなる。割当先は、主要既存株主などである。
stock110307
stock110307
公的機関等からの情報、広報(アジア、世界関連)など
stock110307
<世界食糧価格8カ月連続上昇、史上最高更新>
stock110307
(11年3月3日の国際連合食糧農業機関プレスリリースより)
国際連合食糧農業機関(FAO)は3月3日に、世界の食料価格は2月に砂糖を除くすべての食料グループで上昇を示し、8ヶ月連続して上昇したと発表した。

FAO食料価格指数は1月から2.2%上昇して2月に平均236ポイントとなり、FAOが1990年に価格の監視 をはじめて以来、実質・名目ともに最高値となった。穀物価格指数には、小麦、コメおよびトウモロコシなどの主要主食価格を含むが、2月には3.7%上昇して(254ポイント)、2008年7月以降の最高値に達した。FAO乳製品価格指数は、1月より4%上昇し2月に平均230ポイントとなったが、2007年の11月の最高値よりはかなり低い。FAO油脂価格指数は、2月にわずかに上昇し279ポイントとなり、2008年6月に記録された最高値をわずかに下回る水準となている。FAO食肉価格指数は、1月から2%上昇し、平均169ポイントとなった。対照的にFAO砂糖価格指数は2月に平均418ポイントとなり前月より若干下がったが、依然2010年2月比では16%高い。

FAOは、2010-2011年の世界の穀物需給は逼迫すると予想している。需要が伸び、2010年の世界の穀物生産が減少する中で、世界の穀物在庫は小麦と粗粒穀物の在庫の減少により今年急減すると予測される。主要穀物の輸出価格が昨年2月に比べて少なくとも70%の上昇を示し、穀物の国際価格は急騰した。
stock110307
stock110307