比トヨタ、第1四半期の純利益5%減の24億ペソ

需要鈍化でも高水準の収益、売上高は337億ペソ

2018/05/16

大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク)グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。 GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。これらのトヨタ関連各社の業績が総じ堅調に推移している。特に、TMPの強さが際立っている。

 5月15日発表のGTCAPの2018年第1四半期(1月~3月)によると、TMPの卸売ベースの販売台数は前年同期比12%減の3万3,877台、小売ベースの販売台数も同15%減の3万4,440台となった。車両税改定(大半の車種が増税)の影響や商業車の供給不足などにより二桁減少となった。総合市場シェア(全輸入車を含む総販売台数ベース)は35.5%%と高水準ながら前年同期の38.8%から低下した
 
 これらの結果、売上高は前年同期比9.3%減の337億ペソにとどまった。値上げ効果などで粗利益は同1%増の42億ペソに達したが、税負担増などで帰属純利益は同4.6%減の23億6,080万ペソへと小幅ながら減少した。税負担増は、税優遇措置のあるイノーバやヴィオスの販売比率が低下したことなどによる。小幅減益となったものの、利益額は依然高水準であるし、車両税改定に伴う販売数量減少という環境下としては、底堅い業績推移であったといえよう。
 

 下表の様に、年間ベースの帰属純利益は2013年が前年比50%増の42億ペソ、14年が同71%増の72億ペソと連続で急増した。そして、15年には100億ペソの大台を突破、さらに、16年、17年と続伸し、3年連続で100億ペソの大台を突破している。そして、5年前の2012年と比較すると、売上高は2.6倍、帰属純利益は4.7倍、株主資本は2.4倍へと拡大している。2018年も車両税改定の影響が次第に希薄化し、引き続き100億ペソ超という高水準の利益を計上する可能性がある。

トヨタモーター・フィリピン(TMP)の業績等の推移(単位:百万ペソ、17年までは年間実績、18年は第1四半期実績)
12年 13年 14年 15年 16年 17年  18年1Q 伸び率
売上高 72,560.0 80,676.6 104,886.9 114,289.4 155,832.5 185,337.1 33.698.8  -9.3%
粗利益 7,993.2 10,256.6 14,628.9 18,298.5 21,072.3 23,058.8 4,210.4  1.0%
営業利益 3,718.2 5,719.1 9,859.3 13,909.9 15,669.0 16,798.2 2,872.5  -3.6%
帰属純利益 2,808.8 4,219.0 7,208.8 10,194.6 11,929.0 13,186.1 2,360.8  -4.6%
総資産 21,035.9 23,750.0 26,681.4 32,278.3 36,003.4 42,158.3 44,005.3  4.4%
株主資本 8,053.2 9,285.9 11,923.3 15,228.4 17,492.3 19,147.6 21,578.4  12.7%
 (出所:GTキャピタル事業報告書などより作成、収益伸び率は前年比、総資産や株主資本は16年年末値との比較) 

 なお、TMPは、1988年にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。すなわち、設立30周年を迎えつつある。出資比率はトヨタ自動車34%、 三井物産15%、メトロバンク・グループ(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。
 また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し今年9周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。